自治医科大学の間野博行教授らと科学技術振興機構は、肺がんの新たな原因遺伝子を発見した。日本人の肺がん患者の約7%で見つかり、喫煙者に多かった。肺がんは日本人の死因の第1位で、延命が難しいが、発見した遺伝子を利用すれば、従来よりも肺がんを素早く診断したり治療したりできるようになるとみている。
 
研究チームは、喫煙者の肺がん患者から取り出した細胞を分析し、「EML4―ALK」と呼ばれるがんの原因遺伝子を発見した。この遺伝子の有無を75人の肺がん患者で調べたところ、6.7%に当たる5人(うち喫煙者は4人)で見つかった。
(自治医科大など、肺がんの原因遺伝子発見)


肺癌とは肺に発生する、上皮細胞由来の悪性腫瘍です。90%以上が気管支原性癌であり、気管・気管支、細気管支あるいは末梢肺由来の癌です。

WHOの統計データでは、肺癌による死亡者数は全がん死の17%を占め最も多く、世界中で年間130万人ほどがこの疾患で死亡しているとのことです。日本では2005年の統計では、全がん死の19%を占め、男性では全がん死の中で最も多いです。

肺癌の原因として、際たるものは喫煙です。ですが、人によってその「なりやすさ」は異なり、それに関連しているのが遺伝的感受性といわれています。癌遺伝子はがんに感受性の高い人々がもっていると考えられている遺伝子です。前癌遺伝子は、発癌性物質にさらされると、癌遺伝子になると考えられています。

今回、発見されたのは「EML4―ALK」とのことです。肺癌患者中の6.7%が陽性とのことで、その有用性はどうかな、といったところですが、陽性の人には、早期発見に期待ができるとのことです。

ALKは、細胞外からの刺激を受けて、細胞の増殖を促す酵素の遺伝子らしいです。EML4と融合することで常時働くようになってしまい、細胞が増殖し続ける、とのこと。

検査が実用化され、今後、臨床応用されることが期待されます。

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