落語家、三遊亭圓楽(74)が15日、東京都中央区の銀座ブロッサム中央会館で行われた大銀座落語祭を体調不良のため休演した。平成17年に脳梗塞を発症した影響で今年2月25日に「ろれつが回らない」と引退表明。大銀座落語祭で1日限定の“復活”を果たす予定だったが、実現しなかった。
 
2月25日の東京都千代田区の国立演芸場で「芝浜」を演じた際に「こんな調子ではお客さまの前でやるのは情けない」と自ら52年の噺家人生に幕を下ろした圓楽。同落語祭の出演オファーにも「自信がない」と辞退する構えだったが、弟子の三遊亭楽太郎(57)らの説得で出演を承諾していた。
 
しかし、脳梗塞に加え、長く腎臓を患って週3回の透析を受けるなど“満身創痍”。同落語祭実行委員会スタッフは「体調が整うのをギリギリまで待っていましたが…。休演の連絡がありました」と残念そうに説明した。急きょ、春風亭小朝(52)、林家木久蔵(69)、林家正蔵(44)の3人が代演した。
 
所属事務所は「もともと出演できるか微妙な状態だったうえ、最近、風邪をひいて話すのもままならない。今後、何かに出演することはもうないでしょう」と説明した。
(無念…圓楽1日限りの復活ならず、完全引退の見通し)


脳梗塞は、 脳を栄養する動脈の閉塞、または狭窄のため、脳虚血を来たし、脳組織が酸素、または栄養の不足のため壊死、または壊死に近い状態になることをいいます。日本人の死亡原因の中でも多くを占めている高頻度な疾患である上、後遺症を残して介護が必要となることが多く福祉の面でも大きな課題を伴う疾患です。

脳梗塞は、壊死した領域の巣症状(その領域の脳機能が失われたことによる症状)で発症するため症例によって多彩な症状を示します。代表的な症状としては、麻痺(運動障害)、感覚障害、失調(小脳または脳幹の梗塞で出現し、巧緻運動や歩行、発話、平衡感覚の障害が出現)、意識障害(脳幹の覚醒系が障害や広汎な大脳障害で出現)がおこることもあります。

脳梗塞で言葉が不自由になる場合は、
1.構音障害
喉頭・咽頭・舌の運動にも麻痺や感覚障害(延髄、小脳の障害)が及ぶことで、嚥下や発声機能にも障害が出現します。構音障害は失語とは違い、脳の言語処理機能は保たれながらも発声段階での障害のためにコミュニケーションが不十分となっているものです。
2.失語
優位半球の障害でみられる、高次機能障害で起こってきます。運動性失語(ブローカ失語、非流暢性失語)、感覚性失語(ウェルニッケ失語、流暢性失語)、混合性失語、全失語に分けられます。

引き際を心得られ、「こんな調子ではお客さまの前でやるのは情けない」と自らの噺家人生に幕を下ろされ、惜しまれました。引退後も、雑誌や新聞などで活躍なさっているそうですが、もう高座に上がられることはない、とのこと。残念です。

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