家庭用計測機器メーカーのタニタ(東京都板橋区)は、眠りの深さやその状態を簡単に把握できる睡眠計測機器「SLPモニター」を開発、25日から発売する。寝具の下に敷いて寝れば計測できる手軽さで、商品化は国内外で初めてという。睡眠時無呼吸症候群(SAS)のドライバーが居眠り事故を起こすケースが報告されるなど、睡眠障害は社会問題化しており、潜在需要を見込める運輸会社などへの販売を予定している。

病院で使われていたこれまでの計測機器は身体を拘束したり、脳波を測定する装置をつけたり、測定者や被験者にとっては負担が大きかった。タニタが開発したのは非拘束型で、センサーマットを寝具の下に敷いて就寝するだけで、脈拍や呼吸、体動を計測する。これにより眠りの深さや睡眠習慣をグラフでモニターに表示する。睡眠障害の診断には使用できないが、計測値は医療機関の専門機器と約70%の一致率という水準の高さを確保したという。

価格は52万5000円。自宅でのモニタリング用として、医療機関のほか従業員の睡眠状態を把握したい運輸業者などへの販売を主に予定している。初年度販売目標は300台で、5年後の売り上げ目標は約30億円を見込む。平成22年には価格を5万円程度に抑えた一般家庭用の製品も投入する方針だ。
(眠りの深さを簡単計測 布団下に設置、世界初)


睡眠時無呼吸症候群(SASと略されます。sleep apnea syndromeのこと)とは、睡眠時に呼吸停止または低呼吸になる病気です。夜間睡眠中に「無呼吸」が30回以上あるか、「無呼吸・低呼吸指数」(apnea hypopnea index;AHI)が5以上の場合を睡眠時無呼吸症候群とする定義が多いようです。
ちなみに、上記の用語とは、以下のようなものを指します。
・無呼吸:口、鼻の気流が10秒以上停止すること
・低呼吸:10秒以上換気量が50%以上低下すること
・無呼吸・低呼吸指数:1時間あたりの無呼吸と低呼吸を合わせたもの

原因としては、
・閉塞型睡眠時無呼吸症候群
睡眠中の筋弛緩により舌根部や軟口蓋が下がり気道を閉塞することが主な原因である。
・中枢型睡眠時無呼吸症候群
脳血管障害・重症心不全などによる呼吸中枢の障害で呼吸運動が消失するのが原因である。
の2つに大別されます。

症状としては、(日中の)強い眠気や抑うつ、頻回の中途覚醒や集中力の低下がみられます。「運転中に眠ってしまった」、というような危険性や「仕事に集中できない」といった社会的な損失が問題とされています。

検査としては、入院して行う「睡眠ポリソムノグラフィ検査」や「アプノモニター」のような携帯型の簡便な装置で在宅検査を行なう場合があります。

「睡眠ポリソムノグラフィ検査」は、睡眠ポリグラフ(PSG)とも呼ばれます。入院して下記のようなデータ収集を行なうものです。
・脳波、眼電図、頤筋筋電図による睡眠ステージ
・口や鼻の気流、胸や腹部の動きによる呼吸パターン
・パルスオキシメーターによる経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)

「アプノモニター」は、口・鼻の気流(呼吸)、気管音(いびき)、パルスオキシメーターなどのセンサー部分と本体(メモリー内蔵)より構成されます。入院または在宅で睡眠時の検査を行い、検査後、パソコンに接続し検査データーの解析を行います。

従来、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診断には、病院などに検査入院させて睡眠ポリソムノグラフィ(PSG)などの大掛かりな検査機器を取り付けて寝てもらうなどしていましたが、この方法では普段と環境が違う事から、被検査者が熟睡できず、正確なデータが得られない等の弊害が指摘されていました。アプノモニターならば、自宅と言うこともあり、比較的普段に近い睡眠になるようです。

こうした検査で、睡眠時無呼吸症候群は診断されます。
さらに、機器を付けることで不自由さを感じていたのが取り除かれる非拘束型の検査機が登場したようです。マクラの下に入れているだけでいい、というのは非常にラクな検査と思われます。自宅でのモニタリング用として、より一般的に医療機関などで貸し出しがなされれば、と期待されます。

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