新潟県中越沖地震で被害がもっとも大きかった柏崎市では19日、気温が28.9度まで上昇、暑さを訴える避難住民が急増した。被災から4日目。「暑くてなかなか寝付けない」。市災害対策本部はエアコンの取り付けを急ぐなど、暑さ対策に奔走している。阪神淡路、中越、能登と、冷え込む季節の大震災が続いたが、今回は慣れない暑さ対策が急務となっている。

朝から28度を超す暑さに見舞われた柏崎市内の避難所では、高齢者らがぬれタオルを額に置いて横になるなど、一様にぐったりした様子。
 
市立柏崎小学校に避難中の鈴木ヒデノさん(78)は「昨晩は寝付けなかった。なかなか風呂に入れないから汗をかきたくないけど、あまりの暑さにガブガブ水ばかり飲んでしまう」。避難所では扇風機10台を設置していたが、19日には急遽、30台以上を追加した。
 
柏崎小の避難所にはこの日、50センチ大の氷の柱約10本が運ばれた。氷は水を張った子供用プールに入れられ、ペットボトル入りの水を冷やすのに使われた。約400人が避難した柏崎市荒浜の荒浜コミュニティセンターは、地震発生時から扇風機もエアコンも設置されておらず、窓から強い西日。高齢者らはうちわをあおぐ。
(「蒸し風呂」避難所ぐったり 柏崎市は猛暑対策奔走)


熱中症とは、外気においての高温多湿等が原因となって起こる症状の総称です。
大きく分けて、以下の4つに分類されています。
熱失神
原因:直射日光の下で長時間行動しているような場合に起きる。発汗による脱水と末端血管の拡張によって、体全体の血液の循環量が減少した時に発生する。
症状: 突然の意識の消失で発症する。体温は正常であることが多く、発汗が見られ、脈拍は徐脈を呈する。
治療:輸液と冷却療法を行う。

熱疲労
原因:多量の発汗に水分・塩分補給が追いつかず、脱水症状になったときに発生する。
症状:症状は様々で、直腸温は39℃程度まで上昇するが、皮膚は冷たく、発汗が見られる。
治療:輸液と冷却療法を行う。

熱痙攣
原因:大量の発汗後に水分だけを補給して、塩分やミネラルが不足した場合に発生する。
症状:突然の不随意性有痛性痙攣と硬直で生じる。体温は正常であることが多く、発汗が見られる。
治療:食塩水の経口投与を行う。

熱射病
原因:視床下部の温熱中枢まで障害されたときに、体温調節機能が失われることにより生じる。
症状:高度の意識障害が生じ、体温が40℃以上まで上昇し、発汗は見られず、皮膚は乾燥している。
治療:緊急入院で速やかに冷却療法を行う。

予防としては、発汗によって失った水分と塩分の補給をこまめに行い(特にスポーツドリンクなど塩分と糖分を飲みやすく配合した飲み物)、睡眠を十分に取る、十分に休憩を取る、などです。避難所では難しいことかと思いますが、けして無理をなさらないようにお願いいたします。また、クーラーの設置など、室内の温度調節が早めになされることが望まれます。

さらに、熱中症に罹ってしまった場合、経口補水塩またはスポーツドリンクなどを飲ませることや、首筋や脇の下など、比較的皮膚に近い太い動脈がはしっているところに氷などを置くことで、冷却することが重要です。ただし、冷たいものを大量に飲ませると胃痙攣がおきることがあるので注意が必要です。

また、涼しい場所で休ませたり、霧吹きで全身に水を浴びせて、気化熱によって冷やすなどの方策もあります。汗をかいていないとしても、体温が高くなくても熱中症の可能性はあります(脱水していれば、汗はかくことができない)。自覚症状に乏しいため、熱中症は危険です。十分、ご注意なさってください。

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