世界的イリュージョニストとして知られるプリンセス・テンコーこと2代目、引田天功さんが機材トラブルでイリュージョンに失敗、強度の全身打撲で公演中止となっていたことが23日、分かった。自身の公式ウェブサイトで、所属事務所が発表した。
 
発表によると、トラブルが発生したのは22日の福井県鯖江市の「プリンセス天功スーパーイリュージョン 2007サマーツアー」の昼公演。天功さんは高さ200センチ 幅100センチ 奥行60センチの金属製の箱に入り、刃渡り10センチの金属製刃物20本を箱に次々と突き刺した後に脱出するという「決死のスパイクイリュージョン」という演目で、天功さんは脱出の際に本来なら箱に突き刺さるはずの刃物と激突したという。
 
機材のトラブルとみられ、「あと1センチで右目に剣が突き刺さる状態」だったという。天功さんは事故後、30分間は公演を続行したものの、異変に気付いたスタッフが公演を中止。自家用車で市内の病院に運ばれた。発生当時、天功さんは一人で歩けず、事故については「記憶がない」としている。
 
天功さんは強度の全身打撲で頭部、胸部、腹部に強い痛みが残っている状態で、同日夜の公演は中止となった。今後の公演については対応を検討中で、「詳細はホームページなどで発表する」としている。
(天功さん“イリュージョン失敗”公演中止)


打撲とは、転倒やものに強くぶつかるなど体外からの力による、傷口を伴わない軟部組織の損傷をいいます。主な損傷部位は皮下組織と筋肉であるため、全身のあらゆる部位に起こります。とくに、皮膚を打撲した場合の損傷は打撲傷と呼びます。

一般に打撲に抵抗性のあるものは皮膚、大血管、腱です。一方、抵抗性の小さなものは毛細管や結合組織があげられます。内臓は一般に抵抗性は小さく、これらが挫滅されると内出血の原因となったり、実質の破壊によって機能に障害がおこってしまいます。顔面・頭部、胸腹部、骨盤腔の打撲では脳、肺、肝臓、脾臓などの重要臓器の損傷を合併することがあります。
 
損傷を受けた組織は修復されますが、その際、修復に必要な酸素やさまざまな物質は血液を介して損傷部に運ばれ、通常以上に血のめぐりがよくなります。これに伴い、損傷部がはれたり、赤みを帯びたり、熱感があったりして、炎症を起こします。これがいわゆる「腫れた」状態や「打ち身」となります。

症状は「血管損傷」「神経損傷」「炎症」といった原因によって大別されます。血管が破綻すれば、組織内に血の塊ができ、組織自体のはれとも併せて、外見上、血流増加による発赤が現れたり、出血によって暗紫色になったりします。組織のはれが進むと神経を圧迫し、痛みやしびれなどの知覚異常や運動麻痺が現れることがあります。

とくに、コンパートメント症候群とよばれ、四肢の打撲で著しいはれが生じ、神経、血管が圧迫されて機能障害が現れることがあります。これは、長らく血流が途絶えてしまうと、知覚異常・運動麻痺などの後遺症をのこしてしまう原因となってしまいます。

また、頭部や体幹の打撲によって、臓器の損傷が疑われる場合では注意を要します。バイタルサイン(呼吸、血圧、脈拍、体温)に異常が見られたり、検査で損傷が示唆されれば入院治療が必要です。

「事故後、30分間は公演を続行した」とのことですので、このプロ根性には頭が下がる思いです。ですが、痛みが強いとのことで、ここは大事をとって検査や処置を受け、休まれた方がいいかと思われます。また、元気にステージに立たれることが待たれます。

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