リスクが高い妊娠・出産を引き受ける中核施設として全国に60カ所余り設置されている総合周産期母子医療センターの診療態勢を厚生労働省研究班が調べたところ、回答施設の約2割が、脳出血など産科以外の妊産婦の急性疾患は「受け入れ不可能」とし、態勢に不安があることが28日までに分かった。
 
こうした例は、子ども病院がセンターに指定されている場合に目立った。主任研究者の池田智明・国立循環器病センター周産期治療部長は「未熟児や新生児の医療を主眼に作られたシステムの落とし穴。成人の救急疾患にも対応できるよう、周産期医療を再構築すべきだ」と指摘している。
(母体救急態勢、中核病院の2割が不安・厚労省研究班アンケート)


奈良県の大淀町立大淀病院で、出産中に意識不明になり約20の病院に受け入れを断られた末、32歳の女性が亡くなってしまうという事件がありました。

産科担当医は、急変から約1時間45分後、同県内で危険度の高い母子の治療や搬送先を照会する拠点の同県立医科大学付属病院に受け入れを打診しましたが、「母体治療のベッド満床」と断れれたそうです。
 
また、午前2時半ごろ、もう一つの拠点施設である県立奈良病院に受け入れを要請。ですが、奈良病院も新生児の集中治療病床の満床を理由に、応じられなかったそうです。

こうしたことからも、少なくともこの県に限って言えば、総合周産期母子医療センターの診療態勢は十分でないように思われます。そして、今回の調査結果では、2割の中核病院が同様の状況にあると明らかになりました。

こうした状況では、同様の事件が起こってしまっても不思議ではないと思われます。また今後、産科医数の減少が見込まれ、結果としてさらに施設運用が難しいところが増えてくると思われます。周産期医療、とくに救急疾患に対応出来るよう、再構築が望まれます。

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