中国産ウナギから検出された合成抗菌剤マラカイトグリーンの代謝物が、中国産サバからも相次いで検出され、厚生労働省は30日、食品衛生法に基づく検査命令を出し、今後すべての中国産サバの輸入業者に検査を義務付けることを決めた。韓国産シジミなどからも基準値を超える別の殺虫剤が検出され、同省は検査命令を出すことを決めた。

厚労省によると、6月1日と7月20日に東京港に水揚げされた冷凍の中国産サバ切り身を検疫所職員がサンプル検査したところ、代謝物が微量に含まれていることを確認。国内には流通していなかった。

中国産の切り身のサバは今年1〜7月に計約2万4000トンが輸入されている。
また、下関港(山口県)に水揚げされた韓国産シジミとアゲマキガイからは7月に7回、基準値を超える殺虫剤エンドスルファンを検出。輸入された6・3トンは大半が出荷済みだったが、ごく微量なので人体に影響はないという。
(中国産サバからも抗菌剤代謝物)


マラカイトグリーンとは、青緑色の塩基性有機色素です。用途としては、染料や抗菌剤、培地、試薬などに用いられているようです。

染料としては、微生物学ではお馴染みのヒメネス染色(レジオネラや抗酸菌、リケッチアの染色法)やグラム染色用の色素としてクリスタルバイオレットの代わりに用いられることもあるそうです。培地としては、サルモネラの選択増菌培地や抗酸菌用の小川培地などに利用されています。

抗菌剤としては、還元作用があることから、活性酸素を発生し抗菌力を示すと考えられています。主に、観賞魚などの白点病や水カビ病などの治療に用いられているそうです。

ですが、核酸塩基と親和性を示すことから発ガン性が指摘されています(毒性評価はされていないそうですが)。アメリカでは1981年に、EUでは2002年に食品への使用が禁止され、日本では、食品衛生法により合成抗菌剤として食品中から検出してはならないとされています。

中国でも、2002年に食用動物への使用が禁止されています。それにも関わらず、検出されてしまったようです。唯一の救いは、国内に流通する前に止めることができたことではないでしょうか。

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