予防医療に関心が高まるなか、開発されたのが、HPVの感染を防ぐワクチンだ。HPVは、100種類以上の型があるが、子宮頸がんに関連するのは、15の型に絞られる。そのうち16、18、33、52、58型が高危険型に分類され、欧米で7割の子宮頸がんが16、18型に起因する。日本人には比較的52、58型が多いが、16、18型がやはり全体の6割を占める。

この16、18型の感染を防止するのが、米国の製薬会社「メルク」の子宮頸がんワクチン「ガーダシル」と、英国のグラクソ・スミスクライン(GSC)の「サーバリックス」だ。「ガーダシル」は、16、18型のほか、尖圭(せんけい)コンジローム(いぼ)の原因となる型にも効果があり、昨年以降、米、メキシコ、豪州など70以上の国と地域で承認された。一方、「サーバリックス」は、アジュバントと呼ばれる免疫増強剤が配合され、16、18型のほか、がんの原因となる31と45型にも効果が認められた。今年5月、豪州で承認を受け、欧州と米国でも承認を待つ。

日本国内では、万有製薬が「ガーダシル」の臨床試験を昨年7月に開始し、9歳から26歳の未感染の女性1100人に、3回の筋肉注射でワクチンを投与し、2年間経過を見る。

また、GSC日本法人は、昨年4月から、20歳から26歳の女性約1000人の臨床試験を開始し、今年度中にも厚生労働省に承認を申請するとみられる。

ワクチンは、感染後は効果がないため、性交渉を行う前の段階で接種することになる。海外では9歳や10歳からが接種対象となったが、日本でのワクチンが何歳以上となるかは未定。GSCの広報担当者は「海外のデータをどれぐらい活用できるかは、厚生労働省との話し合い次第」と話す。

「ガーダシル」の開発者でこのほど来日した豪州クイーンズランド大学医学部のイアン・フレイザー教授によると、豪州では、12歳の女性を対象に、無料のワクチン接種予防プログラムを始める。ワクチンを接種する人が多ければ多いほど、HPVに感染する人が少なくなり、子宮頸がんの発生が抑えられるからだ。
(坂井泉水さんの命奪った「子宮頸がん」急増)


年齢別にみた子宮頸部がんの罹患率は、20歳代後半から40歳前後まで増加した後、横ばいになり、70歳代後半以降に再び増加します。最近では、罹患率や死亡率がともに若年層で増加傾向にあります。低年齢での初交や、パートナー数が多いことが一因とも考えられます。

子宮頸癌の原因としては、ヒト・パピローマ・ウイルス(human papilloma virus:HPV)の感染が、子宮頸癌、特に扁平上皮癌のリスク要因とされています。HPVが持続感染(他のタイプのHPVは、一時的に感染しても治癒することが多い)することで、子宮頸癌が発生すると考えられています。子宮頸癌患者の90%以上から、HPVが検出され、ハイリスク・タイプ(16型や18型など)で浸潤がんへの進展がみられやすいとされています。

予防としては、こうしたHPVに感染しないようにすることが重要であると考えられています。メルク社から、尖圭コンジローマと子宮頸癌の原因ウイルスであるHPV6 ,11, 16, 18型のワクチン「商品名GARDASIL(ガーダシル)」が開発され、2006年6月にアメリカ食品医薬品局で承認されました。

HPVに感染していない女性を対象にした大規模臨床試験では、80%近い予防効果があったと報告されています。すでに、HPVに感染した人に対する治験は行われていないが効果は期待されています。

日本では、2006年4月よりグラクソ・スミスクライン社が、EUで既に承認されている16,18型対象のワクチン「商品名Cervarix(サーバリクス)」の治験を開始する予定されています。

ですが、注意しなくてはならないのは、ワクチンは子宮頸癌等の定期健診を省くものではなく、Gardasilなら6, 11, 16, 18型、Cervarix なら16, 18型以外が原因になることがあります。また、ワクチン接種時に既感染のウィルスによる病変の予防にはならなりません。接種後も、定期健診は重要です。特に、子宮頸癌は細胞診によって早期発見が可能なので、定期的な検査が大事であるとされています。

今後、子宮頸癌がワクチンによって、効果的に予防されることが期待されます。早期の承認が望まれます。

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