今年、10代、20代の若者を中心に麻疹が流行したのを受け、厚労省は1日、来年度から5年間、中学1年生と高校3年生全員を対象に、予防接種法に基づくワクチンの追加接種を実施する方針を決めた。

今年、麻疹にかかった若者は、定期予防接種が1回の世代。自然感染の機会が減る中で、子供のころにワクチンを接種しそびれた人や接種したのに免疫を得られなかった人など、十分な免疫を持たない若者が一定程度の集団になり、大学や高校で流行が広がったとみられている。

国は昨年6月に、1歳と小学校入学前の2回接種を導入。しかし、1回接種世代の現在の小学生以上にも、十分な免疫を持たせなければ、再び流行が起きるのは必至で、10代での追加接種の方針を決めた。

また、麻疹の流行状況を正確に把握するため、はしかの患者を医療機関が把握した場合にはすべて報告するよう感染症法施行規則を改正する方針も決めた。
(はしか排除へ予防接種 来年度から中1、高3)


厚生労働省の予防接種に関する検討会が、先月の9日夜に開かれ、国内での麻疹の流行をなくすため「麻疹排除計画」を策定することで合意されていました。平成24年までの5年間をかけて、ワクチン接種により免疫保有率を95%以上に高め、患者が発生しても流行が起きない状況を目標に掲げていました。

はしか予防には、ワクチンの2回接種が重要とされていますが、昨年から始まった小学校入学までの2回接種の徹底に加え、接種の機会が1回だった世代に対しては、5年間の時限措置として中学1年生と高校3年生での定期予防接種を追加する案などが示されていました。

そもそもワクチンは、1988年から麻疹・流行性耳下腺炎・風疹混合ワクチン(新三種混合ワクチン、MMRワクチン)の接種が認められました。ですが、ムンプスワクチンによる無菌性髄膜炎の発症率が予想外に高く、重度障害者を発生させ、政府に賠償責任が生じたこともあって、1993年にはMMRワクチンの接種は中止されてしまいました。

その後、2006年4月以降、新規にワクチンを接種する1歳以上2歳未満の幼児からは、麻疹・風疹混合ワクチンを接種することが可能となりました。
接種スケジュールとしては、以下のようになっています。
1回目:月齢12〜23ヶ月
2回目:小学校入学前の1年間

「麻疹輸出国」などと、日本は麻疹予防の甘さを指摘されてきましたが、麻疹排除に向けて動き出したようです。

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