「『自殺する』という人は、本当は自殺しない」。こうした自殺に対する「偏見」を5割以上の人が抱いていることが4日、内閣府が発表した「こころの健康(自殺対策)に関する世論調査」で分かった。調査は自殺対策基本法施行を受け、今年5月に全国の成人3000人を対象に実施。回収率は57.6%だった。調査によると、「自殺者は年間3万人を超え、交通事故死者の4〜5倍」という実態は、66.4%が知っているなど、自殺への関心は高い。
しかし、世界保健機関(WHO)が指摘する自殺について広くいわれる偏見の典型例を示したところ、「自殺は覚悟の上の行為」58.3%、「自殺を口にする人は本当は自殺はしない」50.0%「自殺は何の前触れもなく突然起きる」46.0%などといずれも半数前後が誤って理解していた。
自殺の要因である鬱病については、「気分が重い」「落ち着きがない」などの主な症状を84.1%が「知っていた」と回答。ただ、身近な人の鬱病の症状に気づいた場合、89.2%が受診を勧めると答える一方、自分が鬱病の症状に気づいた場合、受診するとしたのは56.5%に止まった。
(「自殺すると言う人は死なない」5割が偏見)
うつ病とは、気分障害の一種であり、抑うつ気分や不安・焦燥、精神活動の低下、食欲低下、不眠などを特徴とする精神疾患です。あまり生活に支障をきたさないような軽症例から、自殺企図など生命に関わるような重症例まで存在します。うつ病を反復する症例では、20年間の経過観察で自殺率が10%程度とされています。
生涯のうちにうつ病にかかる可能性については、近年の研究では15%程度と報告されています。日本で2002年に行われた1600人の一般人口に対する面接調査によれば、時点有病率2%、生涯有病率6.5%とされています。
DSM-IVの診断基準は、2つの主要症状が基本となります。それは「抑うつ気分」と「興味・喜びの喪失」です。この2つの主要症状のいずれかが、うつ病を診断するために必須の症状であるとされている。
「抑うつ気分」とは、気分の落ち込みや、何をしても晴れない嫌な気分や、空虚感・悲しさなどです。
「興味・喜びの喪失」とは、以前まで楽しめていたことにも楽しみを見いだせず、感情が麻痺した状態です。
うつ病患者では、抑うつ感、不安、焦燥などのために自殺することを望んだり、実際に実行してしまうことがあります(希死念慮といいます)。抑うつ感などによる苦痛の強い場合、不安・焦燥の強い場合、極端に自己評価の低い場合、罪責感の強い場合、妄想の見られる場合などは自殺のリスクが高いと考えられるため、より注意が必要です。
医師としても、うつ病を疑った場合、「そんなにつらいと死にたくなることはありませんか?」「ひどく落ち込んで、自殺について考えてしまうことはありませんか」などと尋ねることが必要とされています。
決して、注意を引きたいといったことや、ハッタリなどではなく、支持的に接する必要があります。「死にたい」といった言葉は、心からの必死の訴えであることがあります。軽んじることなく、診察を受けさせることが望まれます。
【関連記事】
コンサルテーション・リエゾン精神医学とは
高島忠夫さん「『うつ』への復讐〜」
しかし、世界保健機関(WHO)が指摘する自殺について広くいわれる偏見の典型例を示したところ、「自殺は覚悟の上の行為」58.3%、「自殺を口にする人は本当は自殺はしない」50.0%「自殺は何の前触れもなく突然起きる」46.0%などといずれも半数前後が誤って理解していた。
自殺の要因である鬱病については、「気分が重い」「落ち着きがない」などの主な症状を84.1%が「知っていた」と回答。ただ、身近な人の鬱病の症状に気づいた場合、89.2%が受診を勧めると答える一方、自分が鬱病の症状に気づいた場合、受診するとしたのは56.5%に止まった。
(「自殺すると言う人は死なない」5割が偏見)
うつ病とは、気分障害の一種であり、抑うつ気分や不安・焦燥、精神活動の低下、食欲低下、不眠などを特徴とする精神疾患です。あまり生活に支障をきたさないような軽症例から、自殺企図など生命に関わるような重症例まで存在します。うつ病を反復する症例では、20年間の経過観察で自殺率が10%程度とされています。
生涯のうちにうつ病にかかる可能性については、近年の研究では15%程度と報告されています。日本で2002年に行われた1600人の一般人口に対する面接調査によれば、時点有病率2%、生涯有病率6.5%とされています。
DSM-IVの診断基準は、2つの主要症状が基本となります。それは「抑うつ気分」と「興味・喜びの喪失」です。この2つの主要症状のいずれかが、うつ病を診断するために必須の症状であるとされている。
「抑うつ気分」とは、気分の落ち込みや、何をしても晴れない嫌な気分や、空虚感・悲しさなどです。
「興味・喜びの喪失」とは、以前まで楽しめていたことにも楽しみを見いだせず、感情が麻痺した状態です。
うつ病患者では、抑うつ感、不安、焦燥などのために自殺することを望んだり、実際に実行してしまうことがあります(希死念慮といいます)。抑うつ感などによる苦痛の強い場合、不安・焦燥の強い場合、極端に自己評価の低い場合、罪責感の強い場合、妄想の見られる場合などは自殺のリスクが高いと考えられるため、より注意が必要です。
医師としても、うつ病を疑った場合、「そんなにつらいと死にたくなることはありませんか?」「ひどく落ち込んで、自殺について考えてしまうことはありませんか」などと尋ねることが必要とされています。
決して、注意を引きたいといったことや、ハッタリなどではなく、支持的に接する必要があります。「死にたい」といった言葉は、心からの必死の訴えであることがあります。軽んじることなく、診察を受けさせることが望まれます。
【関連記事】
コンサルテーション・リエゾン精神医学とは
高島忠夫さん「『うつ』への復讐〜」