血液中の尿酸値が高い人は、生活習慣病につながるメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)になりやすいことを虎の門病院健康管理センターの辻裕之医長ら研究グループが突き止め、4日、大阪市内で開かれた「高尿酸血症・メタボリックシンドロームリサーチフォーラム」で発表した。人間ドックの健診データを解析したもので、メタボリックシンドロームを予測する因子として病気の予防、診断に役立ちそうだ。
 
辻医師らは昨年、同病院で8年間に人間ドックを受診した男性約1万4500人のデータを統計的に解析した。BMI(体重を身長の2乗で割った値)が25以上の肥満者で高血圧、高血糖など危険因子を複数持つメタボリックシンドローム該当者と尿酸値、尿のpHの関連を調べたところ、初診時に尿酸が7・1mg/dl以上か尿のpHが5・5未満で酸性が強いと、メタボリックシンドロームに陥ることが分かった。今回の発表は、約7100人の女性について調べたもので、尿酸値が5・1mg/dl以上で有意な関連があることが示された。
 
辻医師は「性別、年齢と関係なく、尿酸値が高まれば、メタボリックシンドロームの状態になる可能性があるので先行指標に使えることが分かった」と話している。
(尿酸値高いとメタボの恐れ 先行指標に活用も)


「初診時に尿酸が7.1mg/dl以上か尿のpHが5.5未満で酸性が強いと、メタボリックシンドロームに陥る可能性が高まる」とのことです。

日本痛風・核酸代謝学会ガイドラインによれば、尿酸の基準値は7.0mg/dL以下とされています。尿酸値7.1mg/dlとなれば、やはり高値になります。また、尿のpHは6.0前後とされており、尿のpHが5.5未満となれば、かなり酸性度が高くなっているといえます。

高尿酸血症とは、人間の血中に存在する物質尿酸の血中濃度が異常に高い状態を言います(血中濃度7mg/dLを越える)。DNAの合成に不可欠な物質であるプリン体の産生過剰あるいは排泄低下がその原因です。合併症として、痛風や尿酸結石、腎障害、動脈硬化などが挙げられます。

高尿酸血症の人は、白血病などの悪性腫瘍がないか、腎障害や尿路結石がないか、糖尿病など他の生活習慣病がないかなどをチェックする必要があります。このような悪性腫瘍や腎障害を除き、生活習慣との関連があります。特に、牛肉やアルコールの過剰摂取(ビールなど)が問題となります。

高尿酸血症は、メタボリックシンドロームの先行指標として使えるかも知れない、と期待されます。健康診断などで、高血糖や高脂血症がなくても尿酸値が高ければ、注意した方が良い、と考えられます。

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