県庁や市役所など地方自治体で、職員の「心の病」が一般企業以上に深刻になっていることが、社会経済生産性本部メンタル・ヘルス研究所(東京都渋谷区、小田晋所長)の調査で分かった。この研究所は自治体に求められる役割が急速に変化する中で、活力ある組織づくりが課題としている。全国の都道府県市区町村1874自治体を対象に4月にアンケートを実施。727自治体から回答を得た。

最近3年間での「心の病」の増減状況について、47・7%が「増加傾向」と回答。規模別では、職員数3000人以上で78・6%、1000人以上3000人未満で64・7%、1000人未満で43・4%だった。

昨年実施した一般企業の調査では、社員3000人以上では66・2%、1000人以上3000人未満で60・2%、1000人未満は55・9%で、組織規模が大きいほど、企業より自治体の方が職員の「心の病」が深刻なことが浮かび上がっている。また「1カ月以上の休職者が現在いるか」については、3000人以上、1000人以上3000人未満の組織ともに、自治体の方が「いる」割合が高かった。

最近3年間で市町村合併した自治体が約3割あったが、「心の病」の増加傾向との因果関係はみられなかった。しかし、職場環境に着目すると、職場での助け合いが「減った」と答えた自治体の56・3%で「心の病」は増え、「減っていない」では39・7%にとどまった。

また、全体として「住民の行政を見る目が厳しくなっている」(82・3%)と感じている自治体が多い。
(なぜか一般企業より深刻 地方自治体職員の「心の病」)


市町村合併に伴い、とりまく環境が異なったり、行政に向けられる目が、厳しいものとなっていることが一因となってはいるようです。

うつ病の原因の一つとして、心理学的・精神病理学的な仮説があります。これは、几帳面・生真面目・小心な性格を示すメランコリー親和型性格を持つ人が、職場での昇進などをきっかけに、責任範囲が広がると、すべてをきっちりやろうと無理を重ね、うつ病が発症するという仮説です。生真面目な人であるほど、うつ病の発症リスクが高いと考えられています。

現に、ストレスなどによって、セロトニンやノルアドレナリンなどの脳内の神経伝達物質の働きが悪くなり、それによってうつ病が起こるといわれています。セロトニンとノルアドレナリンは、意欲や活力などを伝達する働きをしているため、この働きが悪くなると憂うつ感などを引き起こしてうつ病の症状があらわれるようになるといわれています。

これだけ多くの休職者がいるということは、職場や体制に問題があると言わざるを得ないでしょう。職場での問題点をしっかりととらえ、改善することが必要となっていると思われます。

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