米ルイビル大のベネット・ジェンソンさんはインドのシン・ジェ・ギムさんらと共同で子宮頸ガンを予防するワクチンをタバコから作る研究を進めている。

ジェンソンさんはジョージタウン大学にいるとき、ギムさんと共同で類似のタバコ・ワクチンを作り出すことに成功している。そのワクチンは2006年に米食品医薬品局(FDA)の認可を受け、メルク社から「ガルダシル」の商品名で売り出されている。

ガルダシルが子宮頸ガンの原因となる2種のウイルスを対象としているのに対し、開発中のワクチンは13種のヒトパピローマ・ウイルス(HPV)に対応することを狙っている。

HPVと類似のタンパク質「L−2」をタバコに発現させる人工の遺伝子を作り、タバコに注入して培養する。6−10日後にタバコから抽出して純粋なワクチンにするという。

成功すれば3投与分が3ドル(約360円)程度になり、3投与で360ドルのガルダシルより大幅に安くなる。インドのように貧困者が多い発展途上国や米国の貧困層の女性をがんから救うのが研究者たちの目的だ。

インドでは毎年12万人が子宮頸ガンと診断されるが、その80%が手遅れ状態で、死亡者は8万人に達するといわれている。
(タバコから子宮頸ガンワクチンが出来る?)


子宮頸癌の原因としては、ヒト・パピローマ・ウイルス(human papilloma virus:HPV)の感染が子宮頸癌、特に扁平上皮癌のリスク要因とされています。HPVが持続感染(他のタイプのHPVは、一時的に感染しても治癒することが多い)することで、子宮頸癌が発生すると考えられています。子宮頸癌患者の90%以上から、HPVが検出され、ハイリスク・タイプ(16型や18型など)で浸潤がんへの進展がみられやすいとされています。

予防としては、こうしたHPVに感染しないようにすることが重要であると考えられています。メルク社から、尖圭コンジローマと子宮頸癌の原因ウイルスであるHPV6 ,11, 16, 18型のワクチン「商品名GARDASIL(上記のガルダシルのことです)」が開発され、2006年6月にアメリカ食品医薬品局で承認されました。

HPVに感染していない女性を対象にした大規模臨床試験では、80%近い予防効果があったと報告されています。すでに、HPVに感染した人に対する治験は行われていないが効果は期待されています。

日本では、2006年4月よりグラクソ・スミスクライン社が、EUで既に承認されている16,18型対象のワクチン「商品名Cervarix(サーバリクス)」の治験を開始する予定されています。

今後、ワクチンの普及を考える上で、投与分が3ドル(約360円)程度になるならば、より一般的に使用され、子宮頸癌の発生が抑えられることができると期待されます。

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