岐阜県北方町に眼科診療所を開設した男性(31)が偽造医師免許を県に届けていた問題で、男性が5月、同県本巣市の保育園や小中学校の児童ら800人以上に眼科検診を行っていたことが16日、分かった。市は9月中に全員を再検査する。

市教委によると、男性は市の学校医の1人。市の委嘱を受け、5月の健康診断で3保育園、3小学校、2中学校で800人以上を診察したという。

市は、児童らの全家庭に謝罪と夏休み明けの再検査を約束する文書を既に郵送、9月にも男性に代わる学校医を委嘱をする予定。「地元の医師会と相談し、早急に再検査したい」としている。県警は医師法違反などの疑いで捜査している。
(学校医は無免許 児童ら800人眼科検診)


学校での眼科検診は、結膜炎、斜視、眼瞼下垂の有無などを診るそうです。すぐさま失明に至るような異常を発見するといったことは無いにせよ、こうした異常は早期に発見するに越したことはありません。肉眼で見ただけで、病気の疑いがあるかどうかを判断するには、それなりに習熟した眼科専門医である必要があると思われます。

結膜炎には、1)ウィルス性結膜炎、2)細菌性結膜炎、3)アレルギー性結膜炎があります。1)ウィルス性結膜炎には、
・流行性角結膜炎:別名、はやり目。アデノウイルス8型が原因で起こる。
・咽頭結膜炎:別名、プール熱。アデノウイルス3型で起こる。
・急性出血性結膜炎:エンテロウイルス70によって起こる。
2)細菌性結膜炎:原因菌は、黄色ぶどう球菌や表皮ぶどう球菌。黄色っぽく粘りけのある眼脂を伴うのが特徴的。
3)アレルギー性結膜炎:スギ花粉や家のほこり(ハウスダスト)に対するアレルギーでおきる。

また斜視とは、片方の目は視線が正しく目標とする方向に向いているが、もう片方の目が内側や外側、あるいは上や下に向いている状態のことをいいます。それぞれ内斜視、外斜視、上下斜視という風に分類されます。

他にも、状態によって恒常性斜視(常に斜視の状態) 、間歇性斜視(普段は正常だが時々斜視の状態になる)ものと分類されたり、斜視眼によって交代斜視(左右の目が交代に斜視の状態になるもの)、片眼斜視(斜視になる目が、どちらか片方の目に決まっているもの)と分類されたりします。

斜視は、眼球を動かす働きをする眼筋と重要な関係にあります。普段、物を見るとき、両眼の眼筋が微妙に調節して、見たいところに焦点を合わせるように眼球を動かしています。そのため、眼筋の神経支配の異常,眼筋そのものの異常、眼筋附着郡の異常などにより斜視が起こります。また、強い遠視や近視がある場合、片眼の視力不良の場合などに両眼の眼筋の微妙なバランスがくずれて斜視になることもあります。

無免許医が眼科診療所を開設し、しかも学校医として働けてしまうのか、不思議なところです。チェック機構の見直しや罰則の強化などの必要があるようです。

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