木崎真人(滝沢秀明)と木崎トキコ(深田恭子)は、高校生の時に出会い、意気投合。共に高校を中退し、バイクを走らせ仲間とはしゃぐ毎日だったが、トキコの妊娠をきっかけに結婚する。真人は、家庭を支えるために、父・征二(夏八木勲)の元で、一から鳶の仕事をすることを決心。建築現場で働きはじめる。 やがて息子・直也(武井証)が誕生。さらに弟・亮也も生まれ、4人家族になる。

しかし、直也が5歳の時に胸の痛みを訴え、大学病院に入院。肺に腫瘍の影が認められ、開胸手術の結果、小児ガンの一種で、小児では十万人に一人いるかいないかといわれるユーイング肉腫と判明。ショックを受け苛立つ真人に対し、トキコは直也がきちんと治療を受けるように病気の告知をしようと決心。看護師長の東海林(戸田恵子)を手こずらせ病院を走り回る直也が、きちんと抗ガン治療を受けるよう納得させたのだった。

闘病の末、腫瘍は消え、直也は退院できることに。すでに5月に入り、小学校1年生となっていた直也が、小学校に通う日がやってきた。 初めての登校の日、一抹の不安を覚えた真人とトキコをよそに、直也は、大前校長(泉谷しげる)をはじめクラスメートたちに大歓迎を受ける。

しかし、平穏な毎日を取り戻したかに見えたその夏、直也のガン再発が判明。直也は再び入院することになった。2度目の手術を受け、さらに過酷な治療に耐える直也を前に、真人とトキコは動揺を隠せない。必死で直也に付き添うトキコだが、直也の様子を見ていられない真人は、次第に病院から足が遠ざかってしまう。

ようやく真人が病院を訪れた日、直也は、自分は死なない、生きるという決意を伝える。しかし、そんな中またしてもガンの再発を告げられる真人とトキコ。二人は、手術をして最後まで戦うか、手術をせずに残りの日々を楽しく過ごすか、選択を迫られる。真人は、直也の人生は直也自身に決めさせようと考える。

「やってみなければわからない」と答えた直也は、3度目の手術を受ける。手術は成功し、退院も許され自宅へ戻るが、やがて、ガンは骨髄へ転移。再び入院することになり、覚悟を迫られた真人は、山で虫捕りをしようという直也との約束を、なんとか果たそうと考えて―。
(君がくれた夏 ガンと闘った息子の730日)


ユーイング肉腫は、アメリカの病理学者であるユーイングという人が1921年に最初に報告した肉腫であるために名づけられました悪性腫瘍です。ユーイング自身は血管の内皮由来と考えましたが、現在でも結論は出ておらず、おそらく骨髄の結合組織由来と考えられる未分化な悪性の骨腫瘍と考えられています。

10代に発症することが最も多く、男の子の方がわずかに多い(男:女=1.1:1)悪性腫瘍です。小児および青年の悪性腫瘍の4%を占めるといわれています。腫瘍のほとんどが腕や脚(四肢が52%、骨盤が20%、胸部が20%程度といわれています)にできますが、直也くんのように肋骨など、どの骨にも発症する可能性があります。よくみられる症状としては、病巣部の疼痛と腫れがみられます。発熱、貧血、白血球増多および赤沈の亢進など(炎症反応)が他にみられます。X線的には、溶骨性(溶けて黒く抜ける)の変化が普通ですが、反応性骨形成のために、骨硬化像(逆に骨が余計に形成されていく)を示すことがあります。

CT検査やMRI検査は、腫瘍の大きさを同定する上で有用です(骨の破壊と骨外への進展を示す骨膜反応がみられます)。PET検査では、骨肉腫に比較してもかなり高い活動性を示します。診断を確定するには、生検が必要です。
治療法としては、原発腫瘍に対する放射線療法および/または外科的療法に加え、多剤併用化学療法を用いる必要があります。診断では限局性にみえる腫瘍の患者さんのほとんどが、潜在転移を起こしているため、手術・放射線による局所制御のほか、多剤併用化学療法がいずれの患者にも適応とされます。

化学療法としては、ビンクリスチン、ドキソルビシンおよびシクロホスファミドと、イホスファミドおよびエトポシドとを交替で用いるものなどがあります。

原作では、5度の再発、4度の手術を経て9歳という短い生涯を閉じたという山崎直也くん。どうしてこの少年が、つらい治療や苦痛に耐えながら、再発しても、再発しても治療に挑むことができたのか、想像を絶します。おかあさんをして、「わが子に生きる勇気を教えられた」と言わしめたことからも、同じく病と闘っている小さなお子さんやご家族にとって、希望を与えてくれる話であると思われます。

【関連記事】
命をつないだ高3の夏−肝不全の少女を救った高校生たち

ウェルナー症候群とは:突然老けていく美女の叫び

「目は見えるのに、文字だけが読めない…」−アーレンシンドローム

「人の顔を覚えられない」…相貌失認とは