数世紀にわたり、人々の間で体験談が語られてきた「幽体離脱」。23日付けの米科学誌「サイエンス(Science)」によると、スウェーデンの科学者らによる研究チームが、薬物を用いずに人工的に幽体離脱体験を誘導する実験に成功した。

実験では、仮想現実体験ゴーグルを用いて脳への知覚シグナルを混乱させることで、幽体離脱体験を誘導した。被験者にゴーグルを装着させ、そのゴーグルを介して被験者自らが別の場所にいる映像を映し出しながら、被験者の身体に触れる。すると被験者は、別の場所で何かに身体を触れられている自分を見ているような、あたかも幽体離脱しているような感覚を体験したという。世界初となるこの実験では、被験者10人に1人の割合で幽体離脱の感覚を味わった。

研究チームの1人、スウェーデンのカロリンスカ研究所(Karolinska Institute)のHenrik Ehrsson氏(神経科学)は、「人々は数世紀にわたって幽体離脱体験に魅了されてきた。幽体離脱は、人間の意識と肉体の結びつきの根源的な部分にかかわる問題だ」と語り、実験結果から「自分の身体があるという意識が、視覚や触覚などさまざまな感覚を通して得られるものであることがわかる」と分析した。

Ehrsson氏は、実験結果をさまざまな分野に応用できるとも考えている。「この方法で、一種のテレポーテーションのような状態を作り出すことができる。たとえばビデオゲームなどで、仮想キャラクターに自らを投影し、あたかもゲームの中にいるようにプレイすることも可能になるだろう。将来的には、外科医がこの手法を用いて、遠隔手術をできるようになるかもしれない」

今回の実験結果から、これまで妄想あるいは超常現象と言われてきた幽体離脱を、科学的に解明できるかもしれない。ただ、実験で幽体離脱を誘導するに至ったメカニズムは、まだ明らかにはなっていない。これまで幽体離脱は、自動車事故に遭った人や、癲癇などの脳細胞の機能障害を持った人、薬物依存症患者、脳に傷害を負った人などが体験することが多いとされてきた。
(スウェーデンの科学者チームら、人工的に「幽体離脱」を誘導することに成功)


『仮想キャラクターに自らを投影し、あたかもゲームの中にいるようにプレイすることも可能になるだろう』という一文で、よりリアルなセカンドライフのことが頭に浮かびました(閑散としていると聞きましたが、今はどうなんでしょうか)。

普通にモニターを観ているよりも、より感覚に訴えてくる臨場感を生み出すことができるようになるんでしょうね。ですが、果たしてどんな状態でこうしたことが起こってくるのか、まだ分かってはいない印象ですね。

「幽体離脱は、自動車事故に遭った人や、癲癇などの脳細胞の機能障害を持った人、薬物依存症患者、脳に傷害を負った人などが体験することが多いとされてきた」とのことですが、脳機能が失われた部分が存在(脳への知覚シグナルの伝導路)していることで、こうしたことが起こってくると実証されたようです。メカニズムがより詳細に分かってくれば、知覚に異常が現れて困っている患者さんの助けになる治療法に繋がると期待されます。

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