ホーソン効果については、まずその由来をお話しましょう。シカゴの近郊のホーソンの工場で、作業環境が生産性にどう影響するかを測定するテストが実施されました。照明が工場での作業に対してどのように影響するかを計測したのです。

最初は、照明をいつもより明るくすると、生産性が上昇すると記録されました。しかし次に逆に照明を暗くしてみたところ、生産性はさらに向上しました。これは一見すると不思議な現象です。

作業効率が向上した原因を分析した結果、「工場の幹部や同僚の関心を集める中で実験したため、作業者が注目されているという意識で生産性を高めた」という結論に達しました。この結果は、地名にちなんで「ホーソン効果」と命名されました。

つまりホーソン効果とは、人が潜在的に持つ心理状態が関係しているのです。他と違った扱いを受けることに魅力を感じ、注目されることを好み、何か新しいものに好奇心を持つ心理です。

言い換えると特別扱いされたり、特別なものを手に入れたりして、自己顕示欲を満たされると、快感や幸福感を感じて、自分の能力や体調がよりよい方に向かうことがあるのです。ホ−ソン効果はけっして悪い物ではありません。

末期癌などの終末期医療を行うホスピスでは、同じような悪性腫瘍の末期患者では、お見舞いが多い方が長く生存することが証明されています。
(注目されると頑張ってしまうホーソン効果)


今は亡き「あるある大辞典」を始めとした実験番組などでも、注目されている被験者には特別な効果が働いているのではないか、とボンヤリと思っていましたが、その名をホーソン効果、と言うそうです。

何故、この話題になったかというと、上記の話は『民間療法で病気が「治る」、本当の理由』というものの一部です。筆者の西園寺克先生によれば、これにはプラシーボ効果とこのホーソン効果が働いている、とのこと。

知人に「効果があるんだよ」と薦められて、ある健康食品を試し始めたというシチュエーションを考えます。その健康食品を継続して食べ始めていると、薦めてきた知人からは、会うたびに体の調子を質問されます。その後、「実は今、試している健康食品があるんだ」と話した、周囲の人からも体調について聞かれることが増え始めた、とします。

この状況において、知人に効果を説明されたことで、プラシーボ効果が生まれ、知人や周囲からの関心や質問は、ホーソン効果を生み出されたのではないか、と考えられます。

「鰯の頭も信心から」とは良く言ったものと思います。民間療法に走り、結局は高いお金を使っただけで癌を進行させ、病院へ戻ってくる、という患者さんが結構いらっしゃるということを聞いていたので、民間療法に懐疑心や嫌悪感を抱いていましたが、民間療法に「効果がある」と思っている患者さんの希望を砕いてはいけない、と思い知らされました。

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