世界保健機関(WHO)の調査によると、ここ数年、ベトナムでは約4万人の人が喫煙に起因する病気で死亡しているという。8月31日、ベトナムのメディアがWHOの調査データを引用して伝えたところによると、ベトナムで報告されている肺ガン症例のうち80%は、その発症に喫煙が関係しているという。ベトナムでは、喫煙に起因する各種疾病の治療のために支払われる額は毎年5000万ドル以上となっている。

また報道によれば、ここ数年、密輸によってベトナム市場に持ち込まれるタバコは年間5億箱にのぼっている。現地の人がタバコを買うために支払う額は毎年6億2500万ドル。

ベトナム政府は国民の健康を守るためタバコ税の引き上げ、タバコ栽培業への投資制限、タバコ広告の禁止、公共の場所での禁煙範囲の拡大といった措置を講じている。
(喫煙で毎年4万人が死亡=ベトナム)


将来医療、保健の専門家を目指す学生の喫煙率を調べたところ、歯学部生は男性62%、女性35%で最も高く、患者の喫煙に関しても比較的寛容であることが、厚生労働省研究班の調査で分かった、ということからも、喫煙による害は「分かっているが止められない」ということなんでしょうね。

ニコチン摂取を続けると、ニコチン受容体がダウンレギュレーション(受容体の数が減ること)を起こし、ニコチンを外部から摂取しないと神経伝達が低下した状態となります。これがニコチン離脱症状であり、自覚的にはニコチンへの渇望が生じます。喫煙に対して依存性を示す者は「喫煙でリラックスできる」と表現するが、実際は離脱症状を喫煙によって一時的に緩和しているに過ぎません。

喫煙によって罹患率が増加することが示されている癌として、肺がん、喉頭がん、咽頭がん、食道がん、膀胱がんなどがあります。

喫煙により慢性気管支炎、肺気腫(これらの2つの疾患のことをCOPDとも言う)などが生じます。軽度のものを含めると、習慣的喫煙者のほぼ100%に気腫性変化が生じます。

タバコの煙に含まれる活性酸素は、血管内皮細胞を障害することが知られています。そのため、動脈硬化が促進され、狭心症、心筋梗塞、脳血栓 、脳塞栓、動脈硬化、動脈瘤、閉塞性血栓性血管炎(バージャー病)などのリスクが増加することが統計的に示されています。他にも、妊娠中の影響や免疫低下・感染症、歯周病などのリスクが挙げられます。

禁煙は難しいことだと分かりますが、今は禁煙外来を設立しているところもあります。禁煙しようと思った方は、一度足を運ばれてはいかがでしょうか。

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