絶滅の恐れのあるヤンバルクイナやアマミノクロウサギなど15種以上の野生動物が、抗生物質(抗菌剤)の効かない耐性菌に汚染されていることが、岐阜大や酪農学園大などの研究でわかった。抗菌剤の乱用で出現する耐性菌が、医療や畜産の現場だけでなく、環境中にまで拡散している実態がはっきりした。

岐阜大の福士秀人教授らのチームは、環境省やんばる野生生物保護センターなどの協力で、抗菌剤とは無縁のはずの野生動物の糞を集め、腸内細菌に耐性菌がいないか、分析した。

この結果、北海道のタンチョウのほか、沖縄県のヤンバルクイナ、ノグチゲラなどの野鳥、野生化したマングース、野ネコなど15種、285個体から採取した大腸菌や腸球菌から、抗菌剤に抵抗力をつけた耐性菌が見つかった。耐性菌の割合は平均で20〜25%だった。7種類の抗菌剤が効かない菌も見つかった。

酪農学園大の田村豊教授や東京大医科学研究所の調査でも、06〜07年に鹿児島県・奄美大島で集めたアマミノクロウサギの糞128検体から採れた大腸菌の2%は耐性菌だった。また、北海道の原生林で捕獲した野ネズミ196匹の7%からも耐性菌が見つかった。日本で野生化したアライグマからは、10種類の抗菌剤が効かない大腸菌が見つかった。
(耐性菌、野生動物にも 人への影響、監視必要)


抗菌剤は、人間・家畜の治療用、農薬として使われており、さらに人間の排泄物などを介して耐性菌が環境中に広まった可能性がある、とのことです。

トリインフルエンザがヒトへの感染を起こすことが稀にあるようですが、これはヒトの屎尿が河川に流され、そこからヒトインフルエンザウイルスへ水鳥に感染し、ウィルスの変化をもたらし、感染能を獲得する、ということが一説にいわれていますが、同様のことが野生動物に関しても起こっている、ということなんでしょうか。

院内感染でも、安易な抗生物質の使用などで、多剤耐性菌が問題化しております。こうした問題は、既に環境問題ともなっているようです。まだ強い病原性をもつ細菌やウィルスが顕在化していないようですが、ただでさえ稀少な野生動物が絶滅、となりうる危険性もある、ということを念頭に置く必要があるようです。

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