英国の女性が17歳の娘を自殺により失ったのをきっかけに、インターネット上で死者のためのバーチャル記念館の運営を始めた。

娘の死後送られたお悔やみのカードや墓など従来の慣習について、時代遅れで娘をしのぶのにふさわしくないと考えた看護師マギー・キャンディさんは、パソコンの扱いに長けたティーンエージャーの息子の協力を得て、ウェブサイトを立ち上げた。

家族などを亡くしたユーザーは、同サイトで写真や詩を掲示してそれぞれ追悼のためのページを作り、ほかの人々がそのページを訪問できるシステム。

キャンディさんは、ロイターの取材に「今の若い人たちの大部分にとってインターネットは毎日使うもので、オンライン記念館は自然な流れだ」と語った。
(娘を亡くした英看護師、ネットでバーチャル記念館始める)


バーチャル神社があるような時代ですから、こうしたサイトが登場するのも分かります。同じく、娘さんを亡くされたような方の励みや共感となって、悼んでくれる人も、中にはいらっしゃるのではないでしょうか。それも、ネット上での付き合いだから気軽にできるのではないか、と思います。

ですが、一方で不特定多数の方が見ている、しかも一定の匿名性を持っているということの怖さもあります。攻撃の対象となり、さらなる傷を負ってしまう、ということにもなりかねないとも限りません。

さらに、自分のプライバシーや家族の情報を掲載する、ということもセキュリティー上、問題があるのではないでしょうか。ネットということもあり、ついつい気持ちが緩んで書いたカキコミが、恐ろしい結果を招く、なんてことにも発展してしまう可能性がないとはいえないでしょう。

アットホームなHPを演出していても、やはりそこは公の場です。ある程度のブレーキを引かなければならないところがあります。そうなると、堅苦しいものになりがち、というアンビバレンツがそこにはあるように思います。

ですが、書くことで気持ちが整理されたり、自己表現で気持ちが安らいだり精神が安定したり、ということもあるでしょう。そういった意味で、近しい人が亡くなった時にバーチャル記念館を始める、というのは良いことのようにも思います。

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