米研究者らが4日、育児中の母親の喫煙が乳児の睡眠に影響するという研究結果を発表した。授乳前に喫煙すると、乳児の睡眠が不十分になったという。ペンシルベニア州フィラデルフィアにあるモネル化学感覚センターのチームが明らかにした。

同チームが育児中の母親15人を対象に行った実験では、喫煙が乳児の睡眠と覚醒のパターンに変化を与えることが分かったという。喫煙後に授乳した場合は、乳児の活動時間と安眠時間が著しく少なかったほか、昼寝の時間も短かった。

研究を率いたジュリー・メネラ氏らは、ニコチンが母乳を通して乳児に伝達されるのが原因としている。同研究結果は、4日発行の米小児科学会誌の9月号に掲載されている。
(育児中の母親の喫煙、乳児の睡眠に影響=米研究)


ニコチンは、主に中枢神経および末梢に存在するニコチン性アセチルコリン受容体 (nAChR) に作用することで薬理作用を表すと考えられています。中枢神経において nAChR は広範囲に分布しているため、ニコチンは脳の広い範囲に影響を与えます。

ニコチンが依存性を持つのは、中脳辺縁系のドパミン神経系が挙げられます。ここは、いわゆる「報酬系回路」として知られており、快ちよい感覚を個体に与えるため、「もっと、ちょうだい」と思わせるわけです。

妊娠中に能動喫煙あるいは受動喫煙すると、流産、早産の危険性が上昇し、出生後の乳幼児突然死症候群(SIDS)、中耳炎、呼吸器感染症や行動障害などの罹患率が増加する。また、口蓋裂、口唇裂などの先天異常の危険性も高まるといわれています。

上記のニュースで考えれば、ニコチンによる脳への影響や、睡眠が妨げられることによる成長が障害されることも考えられます。

母乳を与えているのにも関わらず、喫煙されている方がいらっしゃる、というのにも驚きです。お子さんの将来を考えるなら、少なくとも母乳を与えている時期は禁煙を、と思わずにいられません。

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