ザ!世界仰天ニュースで取り上げられていた内容です。

1982年、高校の同級生だった二人が結婚。二人はすぐにでも子供が欲しかったが出来ず、病院で診断を受けた結果、男性が精子を作れない体になっている事が判明。一度は養子をもらうことも考えたが…やはりどうしても踏み切れなかった。ついに夫は、苦渋の決断の後、意を決して、妻の卵子に精子バンクから提供された他の男性の精子を人工的に受精させる方法を提案した。

保存されている精子は、身長が高く、高学歴であるなど厳しい条件があった。条件を満たした男性から集めた精子は液体窒素の容器に入れられ、マイナス196度で冷凍保存。精子提供者の情報はリスト化され、バンクを訪れた人は、その中から精子を選ぶことができる。実際の精子ドナーリストに項目別に載っている情報は「民族」「血液型」「髪や目、肌の色」さらに、学業芸術、スポーツ、趣味など項目は多岐にわたる。

選ばれた精子は解凍の後、この精子注入用カテーテルを使って女性の子宮の中へ。こうして、卵子に受精し着床、妊娠となる。提供者とは直接会えず、リストのみで選ぶ。子供が幸せになるようにと提供者の中から妻が選んだのは183cm、金髪で目はブルー。大学では東洋哲学も学んでいる。そして、誰もが認める男前。

数あるドナーの中でも、ひときわ目をひくプロフィールで「ミスターパーフェクト」と呼ばれていた「ドナーNo.150」。ただし、両親が知っているのは番号だけ。

結果、妊娠・出産して生まれた子供はダニエラと名付けられた。彼女が13歳の誕生日を迎えたとき、両親は事実を告げた。最初はふさぎ込んでいたものの、ダニエラは理解を示し、「本当の父親に会ってみたい」と言い出すようになった。

ダニエラは、ネットで検索をかけるが、欲しい情報は得られなかった。そのうち、ダニエラは、コロラド州に住むライアンという女性が作っている『ドナー・シブリング・レジストリー(ドナー兄弟記録)』というサイトを発見。ダニエラはすぐにライアンに連絡を取り、1か月後、二人は会った。

まだ見ぬ父、『Mr.パーフェクト』を通じて巡り合った二人の姉妹。さらに、ペンシルバニア州に住む女性ジョエレンもMr.パーフェクトの娘である事が判り、同じ父親を持つ3人の少女は互いにメールと電話で連絡を取り合り、ついにダニエラとジョエレンが、ニューヨークタイムズ紙の取材を受け『ドナー番号150番のお父さん名乗り出て!』という記事が掲載された。

その記事を読んだジェフリーは驚いた。実は、彼こそが「Mr.パーフェクト」だった。50歳になったジェフリーは、未だに独身。もちろん子供もいない。

実は30年前、大学生だった彼は、知り合いに紹介され、軽い気持ちでカリフォルニア精子バンクでドナーの検査を受けた。ジェフリーの目的は謝礼金。一回につき50ドルこれにジェフリーは味をしめ月400ドルも稼いだ。そんな生活を8年も続けてしまった。名乗り出るには、後ろめたいことが数々あった。今の彼も当時の彼も、みんなが期待する「ミスターパーフェクト」とは遠い生活をしている男性だった。

美貌のため、モデルとしてスカウトされたこともあった。俳優を目指し、ハリウッドデビューを目指していたが、実際もらえたのは、端役や細々としたモデルの仕事ばかりだった。結局、定職にも就かず、ストリッパーをやっていた時期もあった。

だが、ジェフリーは決心し、新聞に載っていたライアンのサイトにアクセス。そしてダニエラにメールで正直に全部書いた。実は、彼の両親も離婚し、「父親に会ってみたい」とこっそり見に行ったことがあった。

結果、彼らは出会った。二人をみれば、一目瞭然。ジェフリーの多くの面影が、ダニエラに残されていた。「会えて良かった」と、ダニエラは隣の実父を見ながらインタビューに答えた。


現在もアメリカには、20以上の精子バンクがあるそうです。同様のケースが多くあったとしても不思議ではないでしょう。

以前、飯島愛さんが引退間際に「精子バンクでシングルマザーになることも考えた」と言っていたことが思い出されました。実際は諦めたそうですが、「パートナーはいらないが、子供は欲しい」という女性にとっては、強い味方になるのではないでしょうか。

国内にも実は精子バンクはあり、番組内で取り上げられていた病院では、以下のようなドナーとしての条件がありました。
・20〜23歳の男性
・医学生もしくは医学に理解がある。
・身長170cm以上
・感染症(ウィルス性肝炎、STD含む)に罹患していない。
・遺伝的な疾患をもっていない。
・運動部に所属していること。

といった条件がありました(もちろん、他の病院や施設では異なるのでしょうが)。運動部に所属していること、という条件があるのが面白いですね。たしかに、学校と家を往復するだけの、半引き籠もりな大学生は除外できるという点は大きいかもしれません。

ですが、提供する人はどんなことを考えてドナーとなるのでしょうか?本当に、自分の遺伝子を受け継いだ子供ができる可能性がある、認識しているのでしょうか。どうも、バイト感覚、という希薄な意識で提供している人が多いような気がしてなりません。

結果、生まれてきた子供にとって、どんな人であっても実の父親となってしまうわけです。子供が事実を知ったとき、どんな苦悩に満ちた状況に陥るのか、想像するに難くありません。

「子供が欲しい」という、シングルマザー志願者や不妊症に悩むカップルの気持ちは理解できますが、一方で安易にこうした施設利用を勧めたりするのは賛成しかねます(子供に打ち明けるか否かは別として)。

そして、施設で絶賛されていた「Mr.パーフェクト」が、実は(書類上の)評判とはまるっきり異なる人間だった、というのも興味深い。やはり、他人が簡単に人を評価することなんかできない、ということなんでしょうね(それにしても、実にいい加減なのには呆れた)。「この物件は良いですよ」と何度も勧める不動産屋の裏には、何かありそうだと思った方がいいということなんでしょうか。

国内では、アメリカほど大きな施設や知名度は高くないようですが、今後の不妊治療の行く末として、危惧される点ではあります。多くの倫理的問題を、しっかりと考えていただきたいと思います。

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