千葉県柏市の妊娠41週目の妊婦(23)が今年5月、24の医療機関から計42回受け入れを拒否され、119番から病院搬送まで約2時間40分かかっていたことが11日、分かった。搬送中の妊婦の意識ははっきりとし破水もなかったが、市消防本部によると、その後の容体は不明だという。
 
市消防本部によると、5月21日午前1時10分ごろ、妊婦側から「陣痛が始まり痛みが激しい。耐えられない」と119番通報があった。妊婦にかかりつけ医がいなかったことから、救急隊は千葉と東京、茨城の3都県にある24の医療機関に複数回にわたり受け入れを要請。しかし、「初診患者を診ることはできない」「当直医師がいない」「ベッドが満床」などの理由で受け入れを拒否されたという。
 
妊婦は同日午前3時50分ごろ、ようやく茨城県の病院に搬送された。柏市では夜間の急患受け入れについて、市内の8病院と診療科目ごとに情報共有などの連携を図っているが、産科専門の協力態勢は取られていないという。
(妊婦受け入れ42回拒否、搬送まで2時間40分 千葉・柏)


受診をしていない妊婦を受け入れるということは、やはり多くのリスク(胎児の疾患や出産に伴うものだけではなく、医療訴訟のリスクも含む)が伴うことは確かでしょう。また、それまで経済的な理由で受診していなかった女性が、診療費を踏み倒してしまうということも問題となっているようです。こうした理由を考えると、一般病院は受け入れが難しい、というのもわかります。

今までに病院へ行っていなかった、ということは確かに問題ですが、切迫した状況で妊婦が受け入れ拒否され続ける、というのは、このまま手をこまねいていて良い状況ではないでしょう。緊急時に対応ができず、病院への搬送を待たなければならないという状況が長らく続くことは、何とか改善すべき事態ではあると思われます。

そのため、総合周産期母子医療センターが考えられており、ハイリスクの妊婦らに24時間態勢で対応しようという施設が求められています。そこで、奈良県の荒井正吾知事は定例会見で妊婦死産問題に触れ、「一部でも前倒しで稼働させたい」と発表しています。

こうした受け入れ拒否の問題については、もはや地域による差はあまり関係なくなってきているのではないでしょうか。すでに、全国的に考える時期に来ているのではないでしょうか。そのためには、産婦人科医の人員確保が早急に必要となっていると考えられます。

安部総理の辞任によって、舛添厚労相が指針として提言した「産科勤務医の診療報酬引き上げ」や「無過失補償制度」は、実現が遠いものとなってしまうのでしょうか。今後も、継続して議論していただきたい問題です。

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