上海にある精子バンクが、基準に合った精子が確保できないことを理由に、体外受精の希望者の受け付けを2009年まで見合わせることが分かった。英字紙チャイナ・デーリーが11日伝えた。

提携病院の職員は同紙に対し、需要に応じるために必要な状態の良い精子が十分確保できないと説明。記事によると、大学生が大半を占める精子ドナー5,000人のうち、基準を満たしたのは700人だったという。

精子バンクの所長は、人々の間で食べ過ぎや運動不足の傾向が強まっていると指摘。喫煙や飲酒、夜更かしなどの生活習慣などが精子を劣化させているとの見方を示した。上海において、出産可能年齢にあるカップル300万組のうち約10%が不妊とみられ、このうち30〜50%が男性側の不妊とされている。
(上海の精子バンク、精子確保できず受け付け見合わせ)


いわゆる「健康な精子」の基準として、WHOは精子の数や運動率の正常値を次のように定めています。
数:精液1ml中に2000万匹以上
運動率:前進運動精子が50%以上
奇形率:15%以下
生存率:75%以上

これを満たさない場合、精子を作る機能に障害があり「造精機能障害」があることが示唆されます。結果、男性不妊の原因となります。

特に、数に関しては、以下のように分類されています。
・精子減少症:精液1ml中に精子が2000万匹以下の状態(正常は2000万匹以上)
・乏精子症:精液1ml中に精子が1000万匹以下の状態(正常は2000万匹以上)
・無精子症:精液中に精子が1匹もいない状態(正常は2000万匹以上)
さらに、運動率に関しては以下のような異常が考えられます。
・精子無力症:精子の運動率が低く精子運動率が50%以下の状態
また、奇形率に関しては、
・精子奇形症:奇形の精子が多く、正常形態精子率が30%以下の状態
といったものがあります。

他にも、副性器障害(クラミジアや結核菌等の細菌の感染により、性器に付随する精巣上体や前立腺、精嚢線などの副性器が炎症を起こし、精子の運動率が低下)や精管通過障害(精子は正常に造られているのに、精子の輸送路である精管に何らかの問題があるため、うまく精子を運ぶことができない)といったことが原因で、男性不妊となることがあります。

環境のせいか遺伝的な要素かはわかりませんが、基準をクリアできたドナー(造精機能のみが基準ではないでしょうが)は少ないようです。以前にも書きましたが、基準としては感染症(ウィルス性肝炎、STD含む)に罹患していない、遺伝的な疾患をもっていない、身長などが挙げられていると思われます。厳しい基準があるとなると、どこかしらに引っかかってしまう人も多いのではないでしょうか。

ドナーの多くは、大学生というのが興味深い。やはりお金に困った大学生が倫理的な問題を考えずにバイト感覚で提供、というケースが多いのでしょうか。その点は国を問わず、といった感があります。

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