京都府警南署の巡査部長(45)が自宅で殺害された事件で、田辺署が殺人容疑で逮捕した二女(16)が小学校高学年のころ既に「お父さんにたたかれる。嫌い」と同級生に漏らしていたことが19日、分かった。

田辺署は巡査部長と二女との関係や、トラブルの有無について詳しく調べる。これまでのところ、二女が事件について反省している様子はみられないという。同署は19日、二女を送検した。

同級生の証言などによると、二女は小学校の高学年のころ、父親にたたかれたことがあったほか、髪の毛を引っ張られることもあった。「お母さんは好き。お父さんはわたしをたたくし、性格が合わないので嫌い」と話していた。

中学2年以降は、黒ずくめの衣装が特徴の“ゴシック・ロリータ(ゴスロリ)”に興味を示すようになったという。
(小学時から「たたかれる」 警官の父殺害で二女送検)


ふと思い出したのが、奈良の男子高校生が自宅に放火した事件。あの少年も幼い頃から父親から叩かれていた、と供述しています。彼は中学生の頃、「成績が下がると父親はすぐ殴ってくる」と友人に洩らしていたそうです。両親が離婚した原因も、暴力にあった、とも報じられています。放火理由は、「父親を困らせようと思った」とのことです。

今回のケースでも、暴力に(娘の話では)父親が派手な女性関係をもっていたということで、両親の不仲が考えられます。ホラー映画やそれに類するメディアの影響があったとはいえ、非常に残忍な行為に及んでいる(6回首元を斬りつけているそうです)など、父親に対する強い憎悪を感じさせます。

躾と体罰という境界は難しいものであるとは思います。ですが、子供にとっては「単なる暴力」と感じるものが多いのではないでしょうか。現代でこそ、度を越した体罰はトラウマの要因として問題視されてはいますが、近年までは体罰が有効な教育方針として考えられていた、という背景もあります。そういった状況下で育ってきた親が、無自覚に子供に暴力をふるっている、ということが問題となっているのではないでしょうか。

躾の名の下に、単なる暴行を行う保護者が未だ存在しているということが、こうした事件で顕在化しているようにも思えます。

また、虐待や家庭内暴力は、まるで鎖のように、子供への暴力が次の世代に伝えられてしまうことも、問題となります。結果、子供の人格形成にとっても悪影響を与える恐れがあります。

「子供は恐ろしい」という声が呟かれているかもしれませんが、親の躾という名の暴力にさらされる子供にも、同様な恐怖や鬱積する怒りがあると思われます。子供に手をあげた行為は、いつか自分(親)へと返ってくる、と思った方が良いのかもしれませんね。

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