厚生労働省は21日、医療機関が名乗ることのできる診療科名を現行より大幅に拡大できるよう、名付け方のルールを規制緩和する制度を導入することを決めた。同日開かれた医道審議会の専門部会が意見書をまとめた。同省は医師会などの意見を聞いたうえで医療法の政省令を改正し、来年度から施行する方針。

医療機関が名乗ることのできる診療科名は現在、医科が33種、歯科が4種、麻酔科の計38種に限定されている。新ルールは臓器や身体の部位、症状、疾患、患者の特性、診療方法の名称と、内科、外科、歯科のいずれかを組み合わせて表記できる。「呼吸器内科」「神経内科」「気管食道外科」「矯正歯科」などが可能になる。このルールでは分かりにくくなる小児科、精神科、アレルギー科、リウマチ科などは、単独での使用を認める方針だ。
 
診療科名が際限なく増え、不適切な表記名になる可能性もあるため、厚労省は政省令改正に伴い、適切な例と不適切な例を示した通知も出すことにしている。
(診療科名を大幅拡大、厚労省が規制緩和)


今年の5月では、内科や外科など基盤的な診療科名を18にしぼり、「病理診断科」「臨床検査科」「救急科」「総合科」を加え、計22に。これらを表記した上で、専門の領域について、身体の部位や症状、治療技術などを原則自由に表記できるようにすると新設案を示していました。

ところが、上記のニュースではその真逆。病院のさじ加減(一定のルールはありますが)で、好きに決めることができるようになったそうです。

当初は、医療法上、広告できる診療科名に「総合科」を新設することにした、と言っていました。医師の専門分野化が進み、一つの病院の中でも総合的に患者を診る医師がいなくなっていることや、専門領域の診療科を掲げる開業医が増え、かかりつけ医を探しにくくなっていることが指摘されており、そのために「何でも診る総合科」を設置しようとしていたわけです。内科や小児科など幅広い領域で総合的に高いレベルの診断ができる医師、医療機関を育てよう、という意図もあったのえはないでしょうか。

ですが、この「総合科」という当初のコンセプトは失われ、なぜだか診療科名の自由化だけが、認められるという方針になりました。果たして、この方針で患者さんにメリットのある改革になるのでしょうか?はなはだ疑問です。単に、病院の利益主導といった感が否めません。

恐らく、あまりにも突飛なネーミングは控えられるでしょうが、わかりにくく、患者さんの不利益にならないような標榜がなされることを祈っております。

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