9月はアメリカで新学年が始まる月。同時に、来年に向けての受験が始まる時期でもある。ニューヨークですごいのは保育園や幼稚園段階でのお受験だ。日本に勝るとも劣らない熾烈なもの。

まず、日本でいう保育園の段階でお受験は始まる。2歳半で、IQやら適性やらをテストされる。保育園は義務教育ではないので、ほとんどが私立。年間学費が2万ドル(約230万円)とバカ高いにもかかわらず、親が無理してでも名門保育園にこだわるのは、それがひいては名門大学進学につながるからだ。

私立校は幼稚園から高校までエスカレート式なので、幼稚園にさえ合格すればこっちのもの。その幼稚園受験でモノをいうのが保育園からの内申書なのだ。名門私立高からの名門大学進学率は高い。

極端な話、たとえ成績はまあまあでも、名門大学には「名門枠」があるそうで、エール大卒のブッシュ大統領などはその口だと、アメリカではもっぱらの噂だ。というのは余談だが……。

ダイアン・キートン主演の「赤ちゃんはトップレディがお好き」(1987年)という映画に、このニューヨークのお受験事情を浮き彫りにしたシーンがある。子供の保育園受験に失敗した母親が、公園でこんなことを言って泣き叫ぶ。「うちの子が××保育園に入れなかったの。もう有名幼稚園にも入れない。有名幼稚園に入れなかったら有名大学にも入れない。もう絶望だわ。うぎゃ――」

アメリカ人に限ったことではない。将来子供をアメリカで立身出世させようという日本人の親も多いのだ。ただ、小金持ちの日本人家族は入ってからが大変。学年が上がるほど学費も上がり、高校になると年間3万ドル(約345万円)と名門私立大学並みだし、親は芸能人やケタ外れの大富豪がほとんどなので、学校外での付き合いにもまたケタ外れの金がかかる。「無理して入ると惨めな思いをするんですよ」とは、ある日本人の親の弁だ。
(2歳半でIQテスト 学費は年間2万ドル)


台湾では現在、子供の低身長化が問題になっているそうです(といっても、平均身長が1cm減少しただけとの話ですが)。教育関係者は、勉強に対する圧力や貧弱な食生活、睡眠不足などが低身長化の原因の一部との見方を示しています。小学生の子どもを持つ教育熱心な両親は、放課後に英語や芸術、音楽教室に子どもを通わせているそうです。

「うちの子が××保育園に入れなかったの。もう有名幼稚園にも入れない。有名幼稚園に入れなかったら有名大学にも入れない…」などという台詞がありますが、こんなことを、ふと考えてしまう(もちろん真剣に考えてはいないでしょうが)ご両親もいらっしゃるのではないでしょうか。

ですが、そんな過大な期待を子供に掛けてしまうのはいかがなものなのでしょうか。
こんなことを考えると、ふと頭に浮かぶのが、奈良の男子高校生が自宅に放火した事件。あの少年も幼い頃から父親から叩かれていた、と供述しています。彼は中学生の頃、「成績が下がると父親はすぐ殴ってくる」と友人に洩らしていたそうです。両親が離婚した原因も、暴力にあった、とも報じられています。放火理由は、「父親を困らせようと思った」とのことです。

もちろん、厳しい教育を受けてきて「自分のためを思ってくれた」と感謝する子供もいるかも知れませんが、一方でひどく反発し、爆発・暴走してしまう子供もいるのではないでしょうか。

画一的で一方的な教育論が、果たして子供にとって最良のものといえるでしょうか。
本当かどうかは知りませんが、ルソーが『エミール』を読んだ女性に「あなたの教育論(子供が窓ガラスを割ってしまったら、そのままにして、寒さに震えて子供が『大変なことをしてしまった』、と理解するまで直すなというもの)を実践しています」と言われ、ルソーは「それは残念なことですね」と言い放った、と高校の倫理の授業で聞きました。

考えてみれば、そうした教育法を書いた筆者の家庭が円満で、子供が健全に育っているかどうかは、分かったものではないですよね(実際に、芸能人が書いていて、子供が警察のご厄介に、なんてケースがあります)。ある程度は、やはり子供の自主性に任せたほうがいいのではないでしょうか。

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