医師不足対策として、大阪府が、医師のカルテや診断書作成など診療にかかわる事務にまで踏み込んでサポートする「医療秘書」を導入する方針を固めたことが27日、分かった。医師の負担を軽くすることで、診察できる患者数を増やすのがねらいで、平成20年度から府立病院を対象にモデル事業を実施し、21年度以降の本格導入を目指す。

厚生労働省などによると、民間病院では、カルテ整理など単純な事務作業を支援する職員が配置されているところもあるが、自治体の公立病院では職員数が少なく、医師の負担が増している。

一方、全国的に産科医や小児科医の不足は深刻で、府内でも医師数が十分とはいえない状態。隣接する奈良県では8月に妊婦の受け入れ先病院が難航し、死産する問題も起きた。このため、医師の主要な仕事である診療業務についても一部を、新規の職員や看護師らに担当させることで、限られた数の医師が診療に集中できる環境づくりを目指す。

府が検討している案では、医師が医療の専門知識がある看護師らにカルテや診断書作成を命じたうえで、内容をチェック。最終的には医師が全責任を負う仕組み。

他県では診療にかかわる事務以外の作業を支援する事業はすでに導入されており、兵庫県は20年以上前から郵便物管理などを行う職員を雇用。青森県は今年度から、カルテの整理やスケジュール管理などを、職員が医師のそばで手伝う事業を始めた。

府はこうした先行事例を参考にしているが、業務の範囲については医師法や医療法でどの程度、医師の代行が認められるか判断が難しく、今後の検討課題になっている。

まず20年度に府立病院でモデル事業を行い、医療秘書がどの程度の業務なら対応できるのか、実際に仕事を行う中で検証。支障がなければ、21年度以降、本格的な導入を目指す。5カ所ある府立病院のうちできるだけ多くの病院で実施したい考え。
(大阪府が「医療秘書」導入へ 医師の事務をサポート)


医療秘書とは、医療の知識を持ち、医師の事務的な作業のサポートなどの業務を担っているそうです。診療報酬明細書作成といった医療雑務や患者と医師の間に立って、業務をスムーズに進行する役目もあるそうです。

資格が必要と言ったことではなく、医療秘書教育全国協議会が実施している検定試験があります。医療秘書としての業務遂行能力を検定するもので、1〜3級までの4段階(準1級を含む)があります。

どの級からでも、誰でも受験できますが、専門知識を問われるので、医療秘書関連教育を受けていないと合格するのは難しいそうです。試験内容は1)医療秘書実務、医療機関の組織・運営、医療関連法規 2)医学的基礎知識・医療関連知識 3)医療事務です。試験は年2回(6月・11月)全国140の会員校(専門学校)で行われています。

医師数が不足している、といった場合、こうした業務の分担で負担を軽減し、仕事を続けることができるようにすることは、非常に重要なことではないでしょうか。今後、府立病院のモデル事業によって、全国的な広がりがみられれば、と思われます。

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