愛知県がんセンター中央病院(名古屋市千種区)で平成17年、同市の50代の男性結核患者を肺がん患者と取り違え、肺の一部を切除していたことが29日、分かった。男性は呼吸困難などの後遺症を訴え、昨年7月、約5,000万円の損害賠償を求めて県弁護士会にあっせんと仲裁を申し入れている。
 
同日、名古屋市内で会見した同病院の加藤知行院長は「男性と家族の意向で、当時は公表しなかった」と説明。「重大なミスと考えており、示談して慰謝料を支払うつもりだ」としている。
 
同病院によると、別の病院で肺がんの可能性を指摘された男性は17年1月、検査のため同病院に入院。同年4月、肺がんと診断され、同5月、右肺の上部3分の1と周辺のリンパ節を切除する手術を受けた。
 
担当医が切除した肺を調べたところ、結核細胞はあったが、腫瘍は見つからず、誤診と判明。手術前に採取した男性の肺細胞の標本を、別の肺がん患者の標本と同じトレーに入れたため、担当医が取り違えたのが原因と分かった。
 
ミスに気付いたため、肺がん患者は通常の手術を受け退院。男性も同年6月に退院したが、呼吸が苦しく、腕が動かしにくいなどの後遺症があるという。
(がん患者と取り違え肺切除 愛知県がんセンター )


標本の取り違え事故は、その性質上、事後の調査により原因が特定し得ないことが多いそうです。詳細な調査を行っても、いつどのようにして取り違えが起こったのかを結論付けることは難しい、そのため、対策をとることが困難、といったこともあります。

ですが、複数の検体をしっかりと区別するため、各施設では以下のような対策がとられています。
・生検の介助者は、生検終了後直ちに生検ボトル及び生検組織入れ(カセット)に患者氏名を記入することを徹底
・検体運搬用の箱を設け、1検査で得られた1個人の検体をその箱に入れて検査終了後、直ちに病理部受付へ提出
・ラベル貼付時に患者氏名、検体が正しいことをレジデント及び教官でダブルチェックし、検査台帳に当該チェックが行われたことを確認するサインを必ず実行
・標本と伝票の確認作業の徹底
・検体の処理中に他の業務を行うことを禁止

などです。特に、チェックの徹底や確認をすることが必要となります。

ヒューマン・エラーは必ず起こるもの、という認識に立って、常に意識してそれでも起こりうる間違いに気づく必要があります。今回の事故を教訓に、しっかりとした対応が求められます。

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