最終警告!たけしの本当は怖い家庭の医学で扱われた内容です。

2003年春、お腹がぽっこり出始め、その後、突然の腹痛に襲われたF・Tさん(54)。病院で診察を受けたところ、盲腸かも知れないと言われた彼女は、すぐに入院し、検査を受けながら薬で散らす治療を受けました。その際、レントゲン検査で「大腸の横に水が溜まっている」と言われたものの、痛みが治まったため退院したF・Tさん。

翌年の人間ドックで「肝臓に影のようなものがある」と言われた彼女は、大学病院で再検査を受けたところ、聞いたこともない病名を告げられました。

所見としては、以下のようなものがありました。
1)ぽっこり出たお腹
2)お腹が急激に膨れる
3)お腹がパンパンに腫れる
4)食べた物を吐く
5)食後にお腹が激しく痛む(4も胃が圧迫されるため)
6)何度、病院で腹水を抜いても、また元に戻る
7)歩くこともままならず、車椅子の生活に

結果、診断は「腹膜偽粘液腫」でした。


「腹膜偽粘液腫」とは、虫垂にできる癌の一種で、粘液(ムチン)性腫瘍が腹腔内に増殖し、多量のドロドロの液体(=偽粘液腫)を産生してお腹を充満してしまう疾患です。一般的なガンと違い「良性の癌」であり、進行が非常に遅いのが特徴的です。

最初は虫垂に発生し、そこに液体を貯留させていきます(腹部レントゲン検査で、「大腸の横に水が溜まっている」と言われていました)。ですが、やがて許容量の限界に達すると虫垂は破裂し、今度は、腹部全体に広がっていきます。するとその癌細胞が、臓器を包む腹膜に転移。再びそこから偽粘液腫を放出し続けてしまいます。

100万人に1人の割合で発症するという珍しい疾患で、50代の女性に多いと言われています。しかも治療としては、あらゆる臓器に偽粘液腫が癒着している(良性のため、浸潤はしない)ため、除去するのが難しいという、完治が難しいといわれていました。

F・Tさんが、手術を受けたのは腹膜播種支援機構代表理事である米村豊先生。
通常の手術の場合、癒着している偽粘液腫を取り除くには臓器ごと摘出しなければならないような形になりますが、これでは必要な臓器まで失われてしまいます。そこで、米村先生が取り出したのが、ボールチップ型の電気メス。このメスを使えば、表面にくっついた偽粘液腫だけを「はがすように」取り除くことができ、臓器そのものは傷つけずに温存できる、というものです。

結果、2回に分かれて行われた手術で、このとき取り除いた偽粘液腫の重さは20キロ。そして2回目の手術で、さらに20キロ。F・Tさんの体重70キロのうち、40キロ分が「偽粘液腫」ということでした。

術後1年経ちましたが、彼女は再びお腹が膨れてしまうことなく、元気に暮らしているそうです。

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