米政府監査院(GAO)は10日、米海軍の新兵訓練を模した「ブートキャンプ」と呼ばれる青少年の矯正プログラムでは、参加者が虐待被害に遭うことがあり、死に至るケースもあるとの報告書を発表した。

GAOの調査員らは米下院教育労働委員会で、こういったプログラムでは、参加者が自分の吐いた物を食べさせられたり、炎天下に何時間も立たされたりするケースがあったと証言。またこれらの行為は、適切な訓練を受けていないスタッフによって行われていたと指摘した。

GAOのグレッグ・カッツ氏は「私のプレゼンテーションは第三世界での人権侵害について話しているように思うかもしれないが、不幸にもこれらの人権侵害は米国内で起きている」と述べた。
(米国の「ブートキャンプ」で虐待被害、死亡例も)


本当に過酷な訓練を課し、終わる頃に「良くやった」と褒めるという手法は軍隊の訓練法でよくありがちなパターンだそうです。これは脳の報酬系に働きかけ、参加者に「次も頑張ろう」と思わせるには、格好のパターンであると思われます。

報酬系とは、ヒト・動物の脳において、欲求が満たされたとき、あるいは満たされることが分かったときに活性化し、その個体に快の感覚を与える神経系のことです。哺乳類の場合、報酬系は中脳の腹側被蓋野から大脳皮質に投射するドパミン神経系(別名A10神経系)であると言われています。

報酬系の働きは、こんな過酷な場面だけではなく、日常的な学習や環境への適応において重要な役割を果たしています。例えば我々は、「この仕事を完了したらボーナスがもらえる」などと、長期的な報酬を予測することで、疲労や空腹といった短期的欲求を抑えて仕事を優先できます。

ですが、上記のニュースは明らかにやりすぎのように思います。もはや虐待としか思えなかったり、適切な処置をとれるスタッフもいないとなると、非常に危険です。いくら更正を促すためとはいえ、亡くなってしまっては元も子もありません。もう一度、トレーニングメニューを見直すべきであると思われます。

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