奈良県田原本町の医師(48)宅放火殺人事件の供述調書などが漏洩した事件で、奈良地検は14日、調書などを引用した著書を出版したジャーナリストの草薙厚子さん(43)に精神鑑定資料を不当に閲覧させたとして、刑法の秘密漏示容疑で、中等少年院送致となった長男(17)の精神鑑定を担当した精神科医、崎浜盛三容疑者(49)=京都市左京区下鴨西本町=を逮捕した。
 
調書の漏洩に秘密漏示容疑を適用し、捜査当局が異例の強制捜査に踏み切った事件は、ジャーナリストの取材源の逮捕という事態に発展。今後、出版や報道に与える影響なども含め、改めて議論を呼びそうだ。

調べなどによると、崎浜容疑者は、昨年8月に奈良家裁から鑑定医に選任され、調書や非公開の少年審判記録の写しなどの鑑定資料を受け取ったが、鑑定書を家裁に提出する前後の同年10月5〜15日にかけ、自宅や京都市内のホテルで3回にわたって草薙さんと面会して資料を見せ、業務上知り得た秘密を不当に漏らした疑い。
 
一方、草薙さんは今年5月、調書や審判記録などからの引用が内容の大半を占める著書「僕はパパを殺すことに決めた」を講談社から出版した。
 
地検のこれまでの調べに対し、崎浜容疑者は「草薙さんから何度も頼まれ、資料を見せた」と認める一方、「事前に内容を確認できず、ああいう形で出版されるとは思わなかった」などと供述。地検は「真相解明のため、総合的に判断して逮捕が必要と判断した」とし、草薙さんについては「さらに捜査中」としている。
(長男の鑑定医を逮捕 奈良秘密漏示事件)


『事前に内容を確認できず、ああいう形で出版されるとは思わなかった』と崎浜医師は供述しているそうですが、それは通らないでしょう。取材を受けている以上、そこで語ったり見せたりする内容が公表されることはしっかりと認識しておくべきであったと思います。

奈良地検は先月の14日以降、フリージャーナリストの草薙厚子さん、出版した講談社の担当編集者ら、19日以降に秘密漏示容疑で任意にて事情聴取していたそうです。おそらく、崎浜医師以外にも何らかの咎が及ぶようにも思われます。

秘密漏示罪は、医師法ではなく、刑法(刑法第 134 条 秘密漏示)に定められています。医師や薬剤師、弁護士などが、正当な理由なく業務上取り扱ったことで知り得た人の秘密を漏らした際に適用されます。告訴が必要な親告罪で、量刑は6月以下の懲役または10万円以下の罰金となっています。

少年法の存在意義には、異論がある人もいらっしゃるかもしれませんが、現行では少年のプライバシーは守られている以上、それを公表することはあってはならないと思われます。

気になるのは、どうして調書を渡してしまったのか、その経緯や動機といったことです。果たして、金銭の授受などはあったのでしょうか。もしあったのなら、医師の倫理上、非常に問題であると思われます。そういった点を含めた解明が待たれます。

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