おなかに脂肪がたまるメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群、通称メタボ)の診断基準を巡り、専門家から異論が相次いでいる。

基準の一つであるウエストサイズ(腹囲)が、女性で90センチ以上なのに対し、男性は85センチ以上と、諸外国に比べても厳しいなどが理由だ。この症候群の人を見つける「特定健診・保健指導」が来年度に始まるが、「これでは健康な人まで『異常』と判定される」との指摘もあり、日本肥満学会などは今後、診断基準に関する委員会を開き、基準の見直しの必要性を検討するとしている。

この症候群は、腹囲に加え、血圧、空腹時血糖、血中脂質のうち2項目以上で異常があった場合に診断される。特定健診・保健指導は、40〜74歳が対象で、現在の健診の項目に腹囲測定が新たに加わる。

内臓脂肪は、内臓の周りにたまる脂肪のこと。画像診断で、へその位置の胴回りの内臓脂肪面積が一定以上の場合、糖尿病や心筋梗塞(こうそく)などを引き起こす恐れが高まるとして、日本肥満学会などが、内臓脂肪面積を基に腹囲の基準を定めた。

だが、国際的にみても、男性の方が厳しい基準となっているのは日本だけだ。
米国の指針では、男性102センチ超、女性88センチ超を腹囲の基準としている。

約160の国と地域の医師らで作る国際糖尿病連合の基準では、欧州で男性94センチ以上、女性80センチ以上、中国・南アジアは男性90センチ以上、女性80センチ以上だ。日本人についても今年、男性90センチ以上、女性80センチ以上との基準を打ち出した。

同連合副会長で中部労災病院(名古屋市)の堀田饒院長は「男性の方が女性より厳しいのはおかしい。腹囲が85センチぐらいの男性は平均的で最も多く、健康な人でも基準に引っかかる恐れが強い」と指摘する。

診断基準をまとめた住友病院(大阪市)の松沢佑次院長は「腹囲の基準を超えたら病気、基準以下なら健康ということではない。女性の基準値が緩いのは皮下脂肪が多いため。女性の方が心筋梗塞などは少なく、現時点では大きな問題はない」としながらも、異論があることを考慮し、「今後、診断基準の見直しの必要性を検討する」と話している。
(男性のメタボ基準、厳しすぎる?学会で検討)


メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪型肥満(内臓肥満・腹部肥満)に高血糖・高血圧・高脂血症のうち2つ以上を合併した状態をいいます。

それぞれ単独でも、リスクを高めますが、これらが多数重積すると相乗的に動脈硬化性疾患の発生頻度が高まるため、リスクが重なった状態はハイリスク群として予防・治療の対象と考えられています。近年では、特に内臓脂肪の蓄積による肥満が共通の基盤として着目されています。

島袋充生・琉球大医学部講師(循環器病学)らがまとめた結果では、心筋梗塞など心臓血管系の病気になる危険性が男性で約2.5倍、女性で約1.8倍に増加するとのことです。

実際には、項目の一つである「内臓脂肪型肥満」は、臍レベル腹部断面での内臓脂肪面積100cm²以上としています。ただし、内臓脂肪面積を直接測定する事は健康診断や日常臨床の場では容易ではないため、腹囲の測定により代用し、男性85cm以上、女性90cm以上を内臓脂肪型肥満と診断しています。しかし、できれば腹部CT撮影等により内臓脂肪面積を精密に測定する事が好ましい、とされています。

ですので、「男性85cm以上、女性90cm以上を内臓脂肪型肥満と診断」というのはそれほど厳密な意味のあることではないとはいえ、そこを変えることにどれほどの意義があるのかは疑問です。

たしかに、最初にこの検査基準を読んだときに「男性の方が、ウェストの基準が小さいの?」と疑問に思いましたが、変えるのだったらそれ相応のデータ(たとえば、何cmなら内臓脂肪面積100cm²以上の人が90%以上含まれる、など)を出して欲しいものです。果たして、来年からはこの基準が変わるのでしょうか?

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