米GoogleはWeb検索技術を一般的な医療情報問題に応用することを目指している。出だしの動きは鈍いが、この市場に力を入れる姿勢は変わらないと、幹部が10月17日の講演で語った。

Googleの検索製品および利便性向上担当副社長、マリッサ・メイヤー氏はサンフランシスコで開かれたWeb 2.0 Summitでインターネット業界幹部ら数百人の聴衆を前に、「当社はこの分野に大きな関心を持っている。まず検索からスタートする」と語った。

同社のWeb検索では、診断の難しい健康問題について、ユーザーが単純にブラウザに症状を入力して何度も検索を実行している。それにエンジニアが着目し、Googleの潜在的役割に気付いたという。

「Googleは医者ではないが、ユーザーはGoogleにやって来て医療情報を多数検索していく。医療情報に対するユーザーのニーズは高く、いずれ当社はそれを満たさなければならない」とメイヤー氏。

医療分野では、最大のライバルであるMicrosoftがGoogleに先行する形で先月、「Microsoft HealthVault」という電子健康記録サービスを発表した。Googleでは医療事業の責任者を務めていたアダム・ボズワース氏が9月に退社した後、メイヤー氏が責任者代理に任命された。同社は個人の医療記録を持ち歩けるようにし、それを閲覧できる相手についてユーザーに「多大な権限」を持たせる方法についても検討中だという。

IBMからOracle、Siemensに至るまで、さまざまなハイテク企業がこれまで何年にもわたり、書類を基本とした個人医療記録市場の転換に取り組んできた。しかし各社とも、プライバシー問題や医療プログラムの予算削減といった障壁に突き当たっている。

Googleは2年前、「Google Co-op」というサービスを開始した。これはさまざまな専門組織を利用して質の高い健康などの情報を分類し、Web上で検索して見つけやすくしたものだとメイヤー氏は説明する。同氏によると、医療関連情報はスケールが大きく、レントゲン写真だけでも毎年推定20億枚が作成されているという。

同社は地図サービスのGoogle Mapsでも、医師と医療関連施設の場所を示す特別レイヤー作成を検討しているという。ユーザーはこれを手掛かりに近所の医者を見つけたり、専門医や関連医を探せるようになる。

個人医療記録はキーホルダーほどの大きさのデジタルストレージ媒体に保存し、パスワードで保護するものになるかもしれないとメイヤー氏。これならユーザーが世界のどこへでも安全に携帯し、各地で医師に医療記録を見せることが可能になる。

「これは大きな構想であり、数年がかりのプロセスになる。まだ着手したばかりだ」とメイヤー氏は話している。
(Google、医療情報のジレンマ解消目指す)


非常に膨大な知識量や最新情報が飛び交う医療は、こうした検索サービスと非常に相性が良いと思います。常にアップデートされた知識を持ち得ていないと(特に治験、薬の副作用や治療法のガイドラインなど)、訴訟問題に発展することを考えると、大手検索サービスに頼って調べることができるならば、こんなにありがたいことはないと思います。

一方で、患者さんにとっても(特に慢性疾患や生活習慣病など)、自身の健康に関する情報の整理や専門医の紹介が検索サービスで知りたい、と思われる方も結構いらっしゃるのではないでしょうか。

これらのニーズを考えると、非常に魅力的な市場であるとは思います。しかし、一方で医療関連情報は膨大な量であり、かつプライバシー問題などが障壁となっています。特に、遺伝子情報などは非常にプライバシーに触れる問題であり、社会的に不利益を被る可能性もあります。そうした問題をはたして越えることができるのか、期待したいと思います。

一方で、国内でも同様のサービスは規模は違えど、開始されています。
たとえば、「矯正歯科医院の検索サイト」が登場していたりします。これは、歯科医院が広告主になり、そのサイト内で宣伝ができるというサービスであり、かなりコンセプトは異なっていますが、近所の歯科医院を探せ、その料金やシステムを知りうることができるなど、便利なサービスであると思われます。同様のサービスが今後、広まっていくと思います。

こうして市場原理が、どんどんと医療界には浸出してくるのではないでしょうか。ワタミなど、既にアドバイザーとしてですが、病院経営(再建)に携わっている会社も出てきています。恐らく、規制緩和などの今後は進んでいくように思われます。

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