以下は、2007年10月28日放送の「報道特集」の内容です。

再発を繰り返すなど、もはや有効な治療法がない、と医師に宣告された患者を「がん難民」と呼ぶそうだ。そのがん難民をどう救うのか、といったことの一つの答えとして、臨床試験に懸けるという選択肢がある。

アメリカのMDアンダーソンがんセンターは、非常に多くの臨床試験を行っていることで有名。そこでは、がん難民が多くやってくる。そして、新たな治療法を積極的に試している。

どうして日本では考えられぬほど多くの方法、多くの症例をみることができるのか。その答えは、アメリカ型のチーム医療の概念が確立していることが考えられる。

日本でもすでに、医師の独善的な医療は悪しき風習であるという認識はされている。セカンドオピニオンという患者の権利が、尊重されつつあるのもその現れではないか。より良い治療法を求め、患者は積極的に行動を起こすようになっている。現に、アメリカでのセカンドオピニオンを求めることを支援するサービスが提供されている。メディエゾン社はそのサービスを担う会社の一つである。

では、日本式のチーム医療とアメリカでのチーム医療は、どう違うのか、その答えは以下のようなものである。
1)科ごと、役職ごと、上級医との垣根がない。
まず、アメリカのチーム医療では、内科医や放射線科医、外科医、薬剤師や看護師、技術士(医学物理士など)の垣根が非常に低い。どの科が専属的に診るか、というのではなく、どの治療法が患者さんに最良の方法なのか、といったことを第一に考える。
さらに、上級医との関係性において遠慮や躊躇いなどがなく、素直に相談できる雰囲気があるのだという。

カンファレンスは当然さまざまな役職・科のスタッフが集まり、回診もチームがみんな集まって患者さんの様子を診る。そこでは患者さんも、どんな質問でもぶつけることができる。同時に、どうした治療法が最適なのかも、率直に話し合うこともできる。

2)役割分担ができているため、医師への荷重が少ない。
日本なら1.5人分ほどの役割を担っているが、アメリカではチーム医療によりバランス良く仕事が配分される。その結果、患者さんへの治療に専念できる環境が整えられていると言える。

3)患者さんへの説明が医師によるものだけでないので、患者さんの理解が深まる。
こうした説明を繰り返したり、立場が違う人に質問ができるため、患者さんの理解が深まります。結果、治療への理解や専念ができると思われます。また、問題に関してもサポートが十二分にできる体制であるので、治療を継続することが出来る。

4)放射線科医や医学物理士の数の違い
日本では、アメリカの10分の1ほどしかいらっしゃらないとのことです。となると、放射線治療に関して、立ち後れてしまうのは必至。今後は、増員などが必要となってくると思われます。

もちろん、アメリカ型の医療に問題点はあるのでしょうが、チーム医療ということに関して言えば、まだ日本は立ち後れていると言わざるをえないのではないでしょうか。

そこで、その不備を補うための方策をとったモデルケースとして、順天堂大学の例が放送されていました。まずはカンファレンスの司会を看護師さんがなさっていたり、回診をチームで行ったりと、それぞれの役職の人たちが問題意識をしっかりともって仕事に当たっている様子が見て取れました。

今後は、こうした動きが広まっていくことが望まれます。将来的には、医師偏重の医療ではなく、しっかりとしたアメリカ型のチーム医療が根付くことが重要であると思われます。

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