米国の医科大学や医学部、および教育病院の学科長の半数以上が製薬会社と金銭的に結びついていることが判明し、米国医師会誌「JAMA」10月17日号で報告された。この報告を行ったマサチューセッツ総合病院およびハーバード大学医学部医療政策研究所(ボストン)のEric Campbell氏は「製薬会社は医学界のあらゆる側面と結びついている。誰かがその善悪を判断する必要がある」と述べている。
 
医学界と企業の結びつきは最近話題に上っている。ある調査では、医学部の3年生では製薬会社からの贈答品、あるいは援助を受けての活動参加が平均して週1件あるという。医療教育機関の医師が製薬会社から食事の接待や物品などを受け取ることを禁じるべきとの声も上がっているが、このような関係がどの範囲まで及んでいるのかを示す全国的なデータは存在していなかった。

今回の研究では、125の医科大学・医学部および15の大規模教育病院の学科長688人を対象に調査を実施し、459人(67%)が回答。その結果、60%が企業と個人的な関係をもち、有給で顧問を務める(27%)、科学諮問委員会の一員である(27%)、企業の創設者である(9%)、役員ないし幹部を務める(7%)、役員会のメンバーである(11%)、有給で講演を行う(14%)などの回答がみられた。

学科の3分の2が企業と関係をもち、臨床系の学科は非臨床系よりもその比率が高かった。内訳は、研究機材を受け取る(臨床系17%、非臨床系10%)、無制限の資金援助(19%、3%)、研究セミナー支援(36%、13%)、研修支援(37%、2%)、学科運営による医学教育の支援(65%、3%)などであった。また、臨床系の学科は、飲食物や専門会議、専門誌購読などの資金援助を受ける比率も高かった。
(医学部と製薬会社の強い結び付きが判明)


5年生になり、臨床実習に行くと、結構な頻度で医局室の前に立つ2人くらいのスーツ姿の男性がいることに気づきました。最初は『誰?』と思いましたが、そのうち製薬会社のセールスマンであることが分かりました。

どこの会社でも営業マンの方はいらっしゃるのでしょうが、病院にも製薬会社の人が売り込みに来ていることに最初は驚いたものです。医局室のボールペン、メモ帳、カレンダーに会社名や売り出している薬の名前が入っていることや、お弁当の差し入れなどがある説明会を考えると、結構結びつきは強いのかな、なんて思ったりします。

しかしながら、こうした結びつきが問題となることもあります。たとえば、以下のようなことが考えられると思われます。
厚生労働省は、新薬と有効成分は同じだが価格が安いジェネリック医薬品(後発医薬品)の普及を促進するため、医師が患者に薬を処方する際、これまでは新薬の使用が「標準」だったのを、後発医薬品を「標準」に転換する方針を固めています。

ジェネリック医薬品は国や患者さんにとっては、費用面でありがたいものであります。しかしながら、医薬品の新薬開発に力を注ぐ製薬会社にとってはありがたくない存在という一面もあります。ジェネリック医薬品にとって代わられてしまうと、今まで得られていた利益を奪われてしまう、ということにもなりかねない。下手をすると、新薬開発への意欲を削がれてしまうかもしれません。

となると、ジェネリック医薬品への転換が難しくなる障壁となっていたかも知れない、と考えられます。もちろん、一製薬会社だけをひいきにする、といったことはあまりなく、ニュートラルな付き合いのところが多いとは思います。しかも、ジェネリック薬品が標準になり、薬の処方せん書式変更を厚労省が決定しています。今後は、ジェネリック薬品へとシフトしていくことと思われます。

ですが、強い結びつきの場合は、転換が難しくなるかもしれない、その可能性があるかもしれない、と思われます。また、そうなるとどうしても副作用の報告や他社への変更が難しくなる、といったこともあるのではないでしょうか。やはり、ある程度節度ある付き合い方が重要であると思われます。

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