4歳以下の乳幼児に多く発症する「川崎病」の患者数が増加を続け、平成17、18年には2年連続で1万人を超えたことが中村好一・自治医科大教授らの全国調査で分かった。40年前に世界で初めて日本人が報告した病気だが、原因はいまだに不明。新たな治療法の開発などで致死率は劇的に低下したものの、心臓の血管に瘤ができるなど後遺症が残るケースもあり、医療関係者らは長期的な流行に警戒感を強めている。

全国調査は昭和45年から2年に1度行われており、過去に全国規模の流行があったのは昭和54、57、61年の3回。患者が1万人を突破したのは57年(1万5519人)と61年(1万2847人)だけだ。3回目の流行後はしばらく落ち着いていたが、10年ほど前に上昇に転じ、ここ数年は増加ぶりが目立つ。
 
今回は小児科がある全国2183病院を対象に実施。70・7%の1543施設が回答した。その結果、患者数は17年が1万41人、18年が1万434人と初めて2年連続で1万人を突破。少子化にもかかわらず患者数が増えているため、0〜4歳児の10万人あたりの罹患率は急上昇している。理由は分かっていないが、中村教授は「全国のあちこちで小さな流行が起きていて、それが積み重なったと考えられる」と分析し、増加傾向は今後も続くとみている。

疫学的データなどから、川崎病には、感染症が何らかの形でかかわっていると指摘され、日本人や日系人に多いことから遺伝的要素も関係するとみられている。現在、川崎病の治療には血液製剤ガンマグロブリンの大量投与が標準的。この治療法の開発後、死亡例は減少し、17、18年に亡くなった患者は各1人で、かつて2%を超えた致死率は0・01%になった。しかし、1〜2割の患者には効果が薄く、後遺症が残るケースは今回の調査でも3・8%あった。子供の後天性心疾患のうち川崎病が原因のケースが最多を占めるという。

原因がわからないため予防法は確立されておらず、早期治療が何より重要となる。
大阪府の1歳9カ月の男児の場合、顔などに発疹が出たため皮膚科を受診。ステロイド剤を処方されたが高熱が続いたため再び小児科を訪ねたところ、川崎病と診断された。幸い後遺症は残らなかったが、母親は「4歳の娘もいるので、予防法が知りたい」と切実だ。
 
関西医科大学男山病院の荻野廣太郎・小児科部長は「瘤をつくらないために治療は時間との勝負。(症状が疑われる場合は)早めにきちんと診断ができる医師にかかってほしい」と強調する。
 
ただ、国の川崎病に対する研究体制は貧弱だ。厚生労働省によると、以前は川崎病単独で研究費を計上していたが、原因解明が進まないことなどから、単独ではなく子供の病気研究の一部に組み込まれたという。「川崎病の子供をもつ親の会」の浅井満会長は「国には早急に川崎病の総合的な研究体制をつくってほしい」と訴えている。
(川崎病2年連続で1万人突破)


川崎病は、別名「小児急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群」とも呼ばれます。その名の通り、主要症状は以下の6つです。
5日以上続く原因不明の発熱(ただし治療により5日未満で解熱した場合も含む)
⇔沼Υ禝綏詼譴僚七
四肢の末端が赤くなったり堅く腫れる(手足の硬性浮腫、膜様落屑)
と乕罎良堋蠏身疹
ジ唇が赤く爛れる、いちご舌、口腔咽頭粘膜のびまん性発赤
μ議棒の非化膿性頸部リンパ節腫脹

以上6つの主要症状のうち、5つ以上を満たすものを本症と診断します。
ただ、上記の診断基準に合致しなくとも、経過中に断層心エコーもしくは心血管造影法で冠動脈瘤が確認され,他の疾患が除外されれば本症とする場合もあります。

日本をはじめとするアジア諸国に多く、欧米では少ないという特徴があります。男女比は、1.3〜1.5:1でやや男児に多くなっています。発症年齢は4歳以下が80%以上を占め、特に6ヶ月〜1歳に多いとされています。

原因は上記の通り不明です。ただ、冬に多く地域流行性があることから何らかの感染が引き金となって起こる可能性が示唆されています。

治療法としては、以下のようなものを行います。
根治療法は存在せず、急性期治療の目的は、炎症反応の抑制・血栓形成予防・冠動脈瘤予防です。

上記のために、免疫グロブリンとアスピリンを併用するのが通常です。この併用療法により、48時間以内に解熱しない、または2週間以内に再燃が見られる場合を「不応例」としています。

「不応例」には、免疫グロブリンの再投与を行うか、ステロイドパルス療法が有用な例も報告されています。また、冠動脈が拡張を来していないか、心エコーによりフォローする必要があります。

「瘤をつくらないために治療は時間との勝負」という言葉の通り、早期診断、早期対処が重要です。高熱が続いたり、結膜の充血、発疹などがでたら疑ってみるのが重要であると思われます。

【関連記事】
小児科医の自殺、労災認定…「それでも私は医者になりたい」

本当は怖い微熱−急性前骨髄球性白血病