お産を扱う助産所が存続の危機に陥っている。4月の医療法改正で、助産所には病院との間で緊急時の妊婦搬送の提携をするよう義務づけられたが、産科医不足が原因で、提携病院が見つからないという事態が起こっている。一部の助産所は廃業に追い込まれる可能性も出てきた。専門家からは「国による支援が必要」という声も出ている。

助産所は家庭的な雰囲気の中で、自然分娩ができることなどから、根強い利用者が多い。厚生労働省の調べでは、平成17年の助産所での出生数は1万676人。ここ10年ほど安定して、1万1000人前後で推移している。助産所数は全国で推計691という。

そんな中、4月に医療の質の向上を目的とした改正医療法がスタート。助産所のうち、ベッドがある助産所には、緊急時の処置に備えて以前から連携が定められていた「嘱託医」に加え、「小児科や産科を備えた有床の医療機関」との連携確保が義務化された。

しかし、既存の助産所にとって、新たな医療機関との連携体制を構築することが負担となっている。助産師でつくるNPO法人(特定非営利活動法人)「お産サポートJAPAN」のまとめによると、9月時点で、緊急搬送先の連携医療機関が確保できていない助産所は34%に上っている。

連携体制の構築には1年間の猶予期間があるが、それも残り半年を切った。同会は「来年3月までに確保できないと、廃業に追い込まれる恐れがある」と窮状を訴える。

神奈川県内のある助産師は、「病院の側に、文書で緊急搬送先の提携をすることへの警戒感があるようだ」と話す。慢性的な産科医不足を背景に、各地の中核病院レベルの医療施設でも、新たな負担となりかねない提携に難色を示すといった事情もあるようだ。

日本助産師会は「利用者の安心なお産を目的に法整備がされたが、一方で、お産の選択肢が狭まる可能性が出てきた。行政による病院紹介など助産所への支援策も整えてほしい」と訴える。
(助産所SOS 病院と提携義務化…医者不足で廃業も)


上記の通り、全国の助産所の3分の1(34%)が、出産時の異常に備えて妊婦を搬送する病院を確保できていないことが10月2日、NPO法人「お産サポートJAPAN」の調査でわかっています。結果、来年3月までに確保できなければ、出産を扱えなくなってしまいます。

産科医不足などを理由に、提携を断られている事例が相次いでいるとのことです。さらに、病院の側に、文書で緊急搬送先の提携をすることへの警戒感(責任問題へ発展しかねない)と提携を渋ることが原因となっているようです。

そもそも、医師との連携が必要不可欠となっているのは、以下のようなケースであると考えられます。
助産行為を行うことができるのは、医師および助産師です。
助産行為の範囲については、明確に法的には示されていませんが、助産師が単独で行えるのは、正常な経過の妊娠分娩に関しての助産行為であるという認識が一般的なようです。

つまり、正常経過ではない、あるいは正常分娩ではない、困難な場合は、医師がかかわる事になっています。従って、個人で助産所を設け助産師としての活動を行っている際に異常を確認した場合、提携の産婦人科医に連絡するなりの措置を行う必要がある、と考えられます。

自ずと、助産師さんが扱える分娩は、比較的問題が起こりにくいということができるかとは思われますが、それでも出産の時は何が起こってくるかわかりません。そのことを考えれば、緊急時の提携は必要となってくるでしょう。しかしながら、それがハードルや足かせとなってしまう、という現状もあると考えざるを得ないでしょう。現に、34%は閉鎖の危機に陥っています。

それならば、政府が提携病院へは支援・援助を行うといった施策が必要となってくると思われます。ただでさえ多忙を極める産科医療で奮闘している病院に、さらなる負荷をかけるならば、それ相応の補助があって然るべきであるとおもわれます。

【関連記事】
救急搬送を断られた妊婦 今度は自宅出産

三つ子を2回連続で出産した女性

医師不足で出産受け付け中断−近江八幡市医療センター