耳鳴り治療のために脳内に電極を埋め込まれた男性患者(63)が、その影響で体外離脱を経験していたことが分かった。

ベルギーのアントワープ大の研究者らが31日、学術誌「ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディスン」に論文を発表した。

電極に刺激を与えたところ、この患者は15秒間と21秒間の2回にわたって自分が体外に離脱したような感覚を覚え、医者がCTスキャンによって脳内のどの部分が活発になっているかを調べたという。

心停止から生還した人などから報告される体外離脱の感覚について、一部の人は死後の世界がある証拠だと論じている。一方、科学者の多くはその見方に懐疑的で、脳が錯覚を起こさせる現象だと指摘している。

アントワープ大の研究者らは、患者の耳鳴り治療に脳内電極を試していたが、その成果は上がらなかった。その代わり、患者は自分の肉体から50センチほど後ろに離れ、左側に行く感覚を経験したという。
(脳内に電極を埋め込んだ男性、体外離脱を経験)


以前、スウェーデンの科学者らによる研究チームが、薬物を用いずに人工的に幽体離脱体験を誘導する実験に成功した、と報じられました。

実験では、仮想現実体験ゴーグルを用いて脳への知覚シグナルを混乱させることで、幽体離脱体験を誘導したそうです。被験者にゴーグルを装着させ、そのゴーグルを介して被験者自らが別の場所にいる映像を映し出しながら、被験者の身体に触れる。すると被験者は、別の場所で何かに身体を触れられている自分を見ているような、あたかも幽体離脱しているような感覚を体験したといいます。

以前から、幽体離脱は自動車事故に遭った人や、てんかんなどの脳細胞の機能障害を持った人、薬物依存症患者、脳に傷害を負った人などが体験することが多いとされてきました。

このことから、特定の脳内の刺激により、幽体離脱のような感覚が得られる、と考えられます。

ちなみに、耳鳴りの治療法としては、以下のようなものがあります。
耳鳴りと一口に言っても、伝音難聴で耳鳴りを伴うものは急性中耳炎、慢性中耳炎あるいは耳硬化症などがあります。急性中耳炎の耳鳴りは炎症の消退とともに、慢性中耳炎、耳硬化症の耳鳴りは手術により難聴の改善とともに軽快することがあります。

感音難聴では耳鳴りを伴うことが多いです。音響外傷や薬物中毒、メニエール病や外リンパ瘻(耳性髄液漏)などでは難聴、耳閉感の消長に伴って耳鳴りも変動します。聴神経腫瘍などの後迷路疾患でも耳鳴りを主訴とすることがあり、診断にも十分な注意が必要となります。

急性期には、まず難聴の原因となる疾患毎に推奨されている治療を受けるべきであるとされています。たとえば、突発性難聴であればステロイドの内服や点滴、高気圧酸素療法などがその治療となります。慢性化した耳鳴には、向精神薬、精神安定薬の内服、局所麻酔薬の注射、耳鳴りマスカーを用いて耳鳴りを遮断、などがあります。また、TRT療法という、耳鳴りを意識しないように訓練して慣れる、ということに焦点を当てた治療法もあります。

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