代理出産を支持する不妊患者らでつくる「扶助生殖医療を推進する会」は4日、生殖医療の在り方を検討している日本学術会議に対し、代理出産などの実施を認めるよう求める申し入れ書を発送したと発表した。
 
申し入れ書は、倫理指針で代理出産を禁止している日本産科婦人科学会を「患者が憲法で保障された幸福追求権を行使する権利を侵害している」と批判。そのうえで、学会の倫理指針の撤廃や、代理出産によって生まれた子どもが依頼者夫婦の実子と認められるような法整備につながる結論を出すよう、学術会議に求めた。
 
会は不妊治療を受けている夫婦49組と支援者約100人からなる団体。会見には、代理出産の実施を公表した諏訪マタニティークリニック(長野県下諏訪町)の根津八紘院長も出席。根津院長も学術会議に「代理出産などの生殖補助医療を受ける権利を法律で保障すべきだ」との意見を伝える方針を明らかにした。
(「代理出産認めて」 不妊患者ら学術会議に要請)


代理母出産とは、「ある女性が別の女性に子供を引き渡す目的で妊娠・出産すること」とのことです。

代理母出産については、生殖補助医療の進展を受けて日本産科婦人科学会が1983年10月に決定した会告により、自主規制が行われているため、国内では原則として実施されていません。しかし、代理母出産をそのものを規制する法制度は現在まで未整備となっています。

上記ニュースのように、不妊で悩む患者さんの願いとしては、非常に深刻で切なるものであると思われます。そこで、代理出産を求める動きが出てきたように思います。

ですが、代理母出産は以下のような問題があります。
国内では不妊治療で生まれた二卵性の双子の中に、男女の性染色体の細胞が血液中で混在するケースが2003〜06年の4年間に8組、同性で血液型が混在する双子も1組あったことが、国立成育医療センター(東京)の左合治彦医師らの調査でわかっています。

胎盤の共有で血液が混じることで起きたと見られ、将来、不妊症になったり、輸血時の血液型判定で混乱する可能性があるとのことです。不妊治療では多胎妊娠率が高く、こうしたリスクも上昇するという見方があります。

さらに、体外受精による妊娠は、胎盤や臍帯に異常が発生する頻度が自然妊娠を大幅に上回るとの調査結果を、聖路加国際病院の酒見智子医師らがまとめています。胎盤早期剥離は、自然妊娠の約5倍の頻度で起こっているそうです。

代理母においても、こうしたリスクが存在し、おいそれと実行して良いかというと、難しいところです。また、代理母が子供を引き渡すのを拒否した、という「ベビーM事件」がアメリカで起こっています。

こうした問題点や法的整備を含め、慎重に議論を進めて言って欲しいと思われます。禁止する前に、十分な議論を尽くさなくては、納得させることはできないと思います。

【関連記事】
「代理母問題」向井亜紀夫妻の出生届、不受理が確定

向井亜紀 代理出産で法務局から催促