薬害肝炎問題で、厚生労働省が平成13年に実施した感染調査の中で、肝炎感染の疑いがある人に対し、手紙や電話連絡で検査受診を呼びかけていたことが分かった。翌14年に、一部実名を含む418人分の薬害肝炎副作用リストを把握した際には、患者へ連絡がなかったことが先月判明し、社会問題化している。わずか1年で厚労省が、肝炎患者に「告知」と「放置」という異なるずさんな対応をしていた。

厚労省では14年に把握した患者情報に関し、告知しなかった理由を「当時は患者に告知すべきという議論や指摘はなかった」(医薬食品局)と説明している。しかし、舛添要一厚労相は、「当時の対応は不十分だった」と指摘。現在、省内の肝炎問題検討チームが検証を進めている。

積極的な告知が判明した13年の調査は、厚労省が外部の有識者から成る研究班に調査を依頼して実施。「クリスマシン」など15種類の非加熱血液製剤の投与歴がある人を対象に、肝炎の感染率などが調べた。薬害肝炎訴訟で問題になる「フィブリノゲン」は「投与者が多すぎる」などの理由で調査対象外となった。

調査報告書では、「肝炎感染者は、感染後数十年を経て肝硬変や肝がんを発症することがあり、感染者への対策は非常に重要な問題」と当時の危機意識が記述されている。その上で「カルテ等の記録をもとに患者を把握する」作業によって、「対象者に対し、可能な限り、文書または電話を用いて検査受診を勧奨した」と、当時の対応が記載されている。最終的に999人にコンタクトが取れ、484人の検診につながった。

一方、「フィブリノゲン」問題が社会問題化したことを受け、14年に厚労省が製薬会社を通じて把握した418人のリストには、感染者の実名や個人情報特定につながる資料がありながら、個人に検査を呼びかけるなどの対応が取られないまま倉庫に放置された。

リスト情報を告知をしなかったことについて、当時の厚労省の責任者だった宮島彰元医薬局長(現・医薬品医療機器総合機構理事長)は産経新聞の取材に、「当時の考え方は医療機関にかかった人に広く検査を呼びかけるスタンスだった。個別告知まで考えてなかった」と説明。また、積極的な告知が行われた13年の調査については、調査については記憶があるとしながらも「患者を割り出して連絡した記憶はない」と話している。

一方で当時、13年の調査に関わった研究者は「研究は厚労省の主導。他の研究よりも多い予算だったので、厚労省が内容を知らないわけがない」と、宮島元局長の証言を否定している。
(肝炎患者に「告知」と「放置」 厚労省ずさんな対応)


調査報告書では『肝炎感染者は、感染後数十年を経て肝硬変や肝がんを発症することがあり、感染者への対策は非常に重要な問題』などと当時の危機意識を感じさせるような記述があるのにもかかわらず、「当時の考え方は医療機関にかかった人に広く検査を呼びかけるスタンス」と当時の厚労省の責任者が答えているという矛盾が、さらに疑念を生んでしまうことになるのではないでしょうか。

しかも、危機意識はありながら、「カルテ等の記録をもとに患者を把握する」「対象者に対し、可能な限り、文書または電話を用いて検査受診を勧奨した」というだけで、対処をしたつもりになっていることも非常に問題です。連絡の取れなかった人や、それほど重要でないと思って受け流してしまう人も出てくる可能性があることを考えると、もっと大々的に報じるべきであると思われます。

C型肝炎に感染後は、以下のような経過を辿る可能性があります。
C型肝炎とは、C型肝炎ウイルス(以下HCVと略す)に感染することで発症するウイルス性肝炎の一種です。血液が主な感染経路であり、いわゆる医原性の感染が多いと言われています。予防接種の注射器の回し打ちをしていた世代や、輸血による感染が多いといわれています。

A型肝炎やB型肝炎と異なり、急性肝炎から経過が遷延して慢性肝炎となることが多く(70〜80%の症例で)、肝硬変へと進展する例がかなり多いといわれています。急性肝炎発症後もALTが高値を保ち、HCV RNAも陽性のまま持続して慢性肝炎に移行する例が多いといわれています。ALTが正常値を示した場合は通常HCV RNAも陰性となって治癒するが、HCV RNAが陽性で無症候性キャリアとなる場合もあります。

慢性肝炎を発症した場合は、20年で約60%が肝硬変へと進展してしまうといいます。肝硬変になった後は、年間7〜8%が肝細胞癌に進展します。ただ、肝硬変に至る前は肝細胞癌への進展率は低いため、肝硬変へ至る前の治療が重要となります。慢性肝炎例ではインターフェロン療法で約1/3がウイルスが完全に排除されますが、残りの約2/3は無効か投与をやめると再燃してしまいます。

ただ、インターフェロンの副作用として発熱、頭痛、倦怠感やうつ症状を呈することがあります。そのため、あまりの倦怠感に治療継続が難しくなってしまった、というか方もいらっしゃるそうです。

しかしながら、ウィルスを排除できる可能性がある以上、インターフェロンを試すことは有用であると思われます。今後の補償を含めた政府の対応が求められます。

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