以下は、ザ!世界仰天ニュースで取り上げられた内容です。

イタリアのナポリ大学工学部でバイオマテリアルを教えるルイージ・アンブロージオ博士。彼は、レッチェ大学の教授、アレッサンドロ・サンニーノと共にスウェーデンのあるオムツ会社からの依頼で新素材を開発していた。そして研究の末、優れた吸収力の素材を開発することに成功した。それは、素材1gに対し、なんと1リットルの水を吸収することができるという。つまり1円玉分の素材で、1リットルの水を吸収するというのだ。

しかし、生産コストの問題から商品化は中止。このままでは、せっかくの開発が水の泡。なんとか別の分野で使えないかと考えた。そこで、思いついたのは、学会で見た胃バルーンシステム。以前、番組でも紹介したこの減量法は、胃の中で風船を膨らませ、食欲を抑えると言うもの。風船を胃の中に入れ、生理食塩水で膨らませる。常時風船が胃を圧迫し、少ない食事で満腹感が得られるという。

つまり、胃の中で何かが膨らめば、やせられるということ。博士はこの吸水性の優れた素材を胃の中で膨らませることが出来ないかと考えた。そうすれば簡単に減量できるはず。早速、チームを組み、研究すること6年。遂に完成!それは、衝撃的なカプセルだった。

胃の中にコップ2杯分の水を入れ、薬を飲むと、約30分で水を吸収し膨らむ。そして、胃を圧迫し満腹感を味わえるという。この薬を開発したルイージ博士本人にその効果を聞いてみると「90人前後の方たちに実験を行っているんですが、開始から3日後に、みなさんの体重が減り始めました」という。

気になる安全面については「この薬は単純に胃の中で膨張し胃のスペースをいっぱいにするだけです。さらに、興味深かったのは胃は通常通り機能しているということ。そして、一定時間が経過すると通常の消化プロセスをたどり排泄されるという仕組みです」と彼は答えた。


胃バルーンシステム(内視鏡的胃内バルーン留置術)は、日本でも大分大学医学部で行われているそうです。

内視鏡的胃内バルーン留置術とは、以下のようなものを指します。
使われているのは、シリコーンでできた米国製バルーン。管を通して生理食塩水を400〜700ミリリットル注入するそうです。バルーンが、体の前方に当たる胃の前壁と背中側の後壁にちょうど達するサイズまで膨らませるそうです。

胃内にバルーンを留置することで、物理的な胃内容量の減少と機能的な胃内容の排泄遅延により摂食量を減少させることができます。胃を切ったりしないので、侵襲が少ないのが大きな利点です。ただ、バルーンの耐性の問題から留置の限界が6ヵ月となっているとのこと。

処置にかかるのは10〜15分と短いのも利点です。ですが、経過観察も含め平均で4日間は入院が必要とのこと。入院費を含め、約15万円かかるそうです。

適応となるのは、BMIが35以上で、糖尿病や高血圧、高脂血症、睡眠時無呼吸症候群、膝関節症などの合併症がある場合だそうです。さらに、薬や食事療法、体重を毎日記録して減量の動機づけをする行動療法で改善しないことも条件になる、とかなり厳しめ。手術である以上、手軽に受けるというワケにはいかないということですね。

こうした原理で同様な効果が得られ、さらに内服薬(カプセル)というのなら、少し試してみたいという人もいるのではないでしょうか。イタリアでは来年の5月に商品化を目指し、現在、研究開発の最終段階だといいますが、日本でも承認される日はくるのでしょうか。

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