福島市で乗用車にはねられた女性の搬送先の病院が約1時間決まらず、約6時間後に死亡したことを受けて、福島市や消防、市内の病院などでつくる「福島市救急医療病院群輪番制運営協議会」は19日、臨時の総会を開き、消防から救急患者の受け入れを打診された病院は、原則として拒否しないことを決めた。

会見した同協議会の有我由紀夫会長は「患者さんや市民に多大な不安を与え、遺憾に思う。医師による診断が約1時間も遅れたのは大きな問題だ」と強調。「各病院の医師は、満床だからと受け入れを断ることなく、まず患者を診るべきだ」と述べた。
 
受け入れた後の対応については、満床などのためそのまま治療することが困難な場合、病院間で調整し、より高度な医療ができる病院に移送することとした。

事故は今月11日夜発生。福島市で道路を横断しようとした市内の無職女性(79)が乗用車にはねられた。救急搬送される際、4つの病院に計8回受け入れを断られ、約1時間後に別の病院に搬送されたが、事故から約6時間後に脳挫傷で死亡した。
(搬送遅れで福島市「病院は原則受け入れ」)


救急搬送の件数は年々増え続けています。東京消防庁によると、都内だけでも救急車の出動件数は、1995年の44万8,450件から、2005年には69万9971件となっています。この背景としては、最近、軽傷であっても救急外来に運ばれてくる人や、救急車をタクシー代わりにしてしまうような人が出ているなど、緊急性の低い人が使用していることが背景にあるといわれています。

そのため救急車の到着が遅れ、なおかつ、そういった患者さんに対応するため、本当に緊急性の高い上記のような人を受け入れることが出来ない、といったことが起こっていると考えられます。

特に、高度な医療を提供することのできる大学病院などの三次医療圏に含まれる医療機関こそ、重症患者を受け入れる状態にあってしかるべきですが、緊急性の低い人の対応に追われ、受け入れが難しくなってしまう、という事態に陥ってしまう可能性もあります。

そこで、東京都は「救急搬送トリアージ」という以下のようなシステムを取り入れています。
通常の意味での「トリアージ」とは、災害現場などで多数の死傷者が発生した状態において、医師が病院搬送の優先順位を判断する仕組みです。マンパワーや医療物資を適切に配分し、できるだけ多くの人を救助しようという目的で行われます。

救急搬送トリアージは、救急車の出動件数の増加に伴い、重傷者の搬送を優先し、「けがや病気の緊急性に応じて救急車による搬送が必要か判断する制度」のことです。

救急隊員が現場で患者らから症状を聞き、年齢や呼吸、意識などをチェックし、緊急性が低いと判断した場合、患者らの同意を得て民間搬送業者などを紹介します。現在は、"仮運用"中で、来年3月まで試行した後、本格運用されます。

都内での一定の効果がみられた場合、全国的に広まっていく可能性もあるのではないでしょうか。しっかりとしたシステムが構築され、これ以上、重症患者がたらい回しにされるようなケースが起こらないことを願います。

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