10代のころから両手足がこぶで覆われる病気に苦しむインドネシア人男性(35)が、米国の医師が提案する治療法で病気の完治を目指すことになった。

「ツリーマン(木男)」と呼ばれる男性は、インドネシアの首都ジャカルタの南150キロの村に住むデデさん。10代の時にひざに切り傷を負って以降、体にこぶができ始めたという。デデさんは、ロイターテレビの取材に対し「かゆみを感じると両足にいくつかのこぶができていた。無視していたら、すぐに体中がこぶだらけになった」と語った。

両手が使えないため仕事ができず、妻にも見放されたデデさんは、10代の娘2人とともに貧しい生活を送っている。こぶに覆われた両手足はとても重く、扱いにくいので外出もしないという。

1993年に地元の病院に入院したが、医師らはデデさんの症状に対する治療法を見つけることができなかった。

しかしメディアの報道によると、米メリーランド大のアンソニー・ガスパリ医師がこのたび、デデさんに対してある治療法を提案。同医師はデデさんの血液検査を行った結果、デデさんの症状は、小さなこぶを形成する感染症「ヒト乳頭腫ウィルス(HPV)」によるものだと判断したという。

ガスパリ医師は、別のHPVの重症例でこぶの増殖を防ぐ効果が確認された合成型のビタミンAを毎日投与することで、デデさんの症状を完治できるとの見方を示している。
(両手足がこぶに覆われたインドネシア人男性、米医師が治療へ)


この男性の病名は、おそらく疣贅状表皮発育異常症ではないかと思われます。

疣贅状表皮発育異常症とは、主にHPV(ヒト乳頭腫ウィルス)-5,8,17,20などによって起こると言われています。多くは常染色体劣性遺伝で、先天的なHPVに対する細胞性免疫の低下が背景になっていると考えられています。

幼少期から手背や体幹などに、やや大型の扁平疣贅状の角化性紅褐色斑が出現し、しばしば融合して局面や網状配列を呈します。癜風のように白斑や紅斑を呈することもあります。

この疾患は、以下のような注意すべき点があります。
疣贅状表皮発育異常症による皮疹は徐々に全身へ拡大し、青年期以降では約半数の症例に皮膚悪性腫瘍(有棘細胞癌、基底細胞癌、Bowen病など)を発症してくることもあります。およそ40〜50%の患者さんに皮膚癌が出現することがあるといわれています。

ただ、根治するための治療法は今のところ存在していませんが、露光部において悪化するため、サンスクリーン外用などが予防的に行われます。

また、上記の医師のように、レチノイド(合成型のビタミンA)の内服が行われることもあります。レチノイドretinoidとは、ビタミンAとその関連化合物の総称で、天然物と合成品があります。

天然のビタミンAとしてレチナールretinalがあり、関連の活性化合物としてレチノール、レチノイン酸が知られています。レチノイン酸の誘導体として多くのレチノイドが合成されたが必ずしも天然ビタミンAの生理作用をカバーしないものもあります。

薬理作用として抗オキシダント作用、抗癌作用があり、皮膚科領域で乾癬、にきびなどの治療に用いられます。

大変、生活がしづらい状態にあるようですので、少しでも治療によって楽にすることができえば、と思います。

【関連記事】
仰天ニュース系の症例集

頭にツノが生えている102歳老人

足の裏に乳首ができた22歳女性(副乳房とは)