以下は、ザ!世界仰天ニュースで取り上げられていた内容です。

1996年、イギリス・マンチェスター。建設会社で働くポールとジョーンの夫婦に初めての赤ちゃんが授かった。しかし検診で、生まれてくる双子が結合していることが告げられた。

通常、一卵性双生児は受精後3日から8日で分離するが、結合性双生児は完全に分離しないまま成長を続ける。結合双生児が生まれる可能性は世界中どこでも10万分の1で、生存率は4分の1以下にすぎない。医師は分離手術を勧めた。しかし手術にはリスクがあり、共有している臓器によってはどちらかを犠牲にする必要があった。16週目の検診で、2人の子供は肝臓と心臓膜を共有している可能性が高いことがわかった。しかし手術がうまくいくかはわからない。夫婦は思い悩んだが、生むことを決意した。

迎えた04月06日、ジョーンは帝王切開で双子の女の子イーファとニーブを出産した。病院は2人のために医療チームを結成、リーダーは12件の分離手術を行った世界的に有名なルイス・スピッツ医師だった。

診断の結果、2人が共有しているのは予測どおり肝臓と心臓膜だった。肝臓は再生し、心臓膜についてはどちらかに人工膜をつければ救える可能性が高いという。06月18日、生後2ヶ月のイーファとニーブは分離手術を受けた。双子の肝臓を超音波カッターで分離、そして心臓膜はイーファの心臓の周りに縫いつけ、ニーブには人工の心臓膜を使用した。6時間に及ぶ手術は成功、イーファとニーブは切り離され別々の体になった。そして今年10歳になった2人はアイルランドで元気に育っている。


結合双生児とは、体が結合している双生児のことです。発生において、もともとは一卵性双生児として生まれてくるはずだったのですが、十分に分割(受精後3日から8日で分割される)されなかったために生じると考えられます。

結合部位によって胸結合体、殿結合体、頭蓋結合体などに分類されます。イーファちゃんとニーブちゃんの場合では、胸結合体であると考えられます。

こうした結合体とは、双児の身体の一部分が結合したもので、大きく分けて対称性二重体と非対称性二重体(寄生性二重体)とに分類されます。上記の場合では対称性二重体であり、両児が結合していて、それぞれの身体は均等かつ対称性に発育した場合をさします。

一方、他方の発育が不良で前者に付属しているようにみえる状態を非対称性二重体(寄生性二重体)と言います。今月、インドで4本の足と4本の腕があったために手足の切除を行ったラクシュミちゃんという少女がいましたが、彼女の場合はこちらのケースであったと思われます。

イーファちゃんとニーブちゃんと同様に、胸結合体である双生児には以下のようなケースもあります。
今年の4月、バンコクのシリラー病院の医師団により、胸部から腹部にかけて胴体がつながり、心臓と肝臓が癒着した状態で生まれた結合双生児の分離手術に成功したと発表がありました。

姉妹の心臓は心室部分が結合し、一部の血管もつながった状態で、約60人の医師と看護師さんが加わり12時間を要したそうです。心臓の共有部もあったとのことで、上記よりも難しい手術だったことが分かります。

臓器を共有していたりする結合双生児の場合では、どうしても生存年数が短くなってしまう(たとえば、心臓や肺が1つで2人で共有していたりする場合、負荷が大きい)といったことが考えられます。

また、共有している臓器によってはどちらかを犠牲にする必要があるといったこともあり、難しい選択を迫られることもあります。生活上、多くの障害があり「自由になりたい」と、分離手術を希望するケースもあるでしょう。ただ、命を落とすリスクもそこにはあります。

VTRでは、非常に元気に過ごしているイーファちゃんとニーブちゃんの姿が映し出されていました。傷口も小さく、目立たなくなっていました。彼女たちが無事生まれ、分離手術を無事成功させることが出来たのは、まさに幸運な奇跡とも言える現象ではないでしょうか。

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