厚生労働省は28日、医薬品の公定価格が、市場実勢価格を約6・5%上回っていたとする医薬品価格調査(速報値)を厚生労働相の諮問機関・中央社会保険医療協議会(中医協)に報告した。この結果、価格差(乖離率)是正のため、平成20年度の診療報酬改定での薬価改定率は1%弱の引き下げになる見通しとなった。医療費の国庫負担は約800億円の圧縮が見込まれる。

調査は今年9月の取引分を集計した。価格差の内訳は、内服薬6・4%、注射薬7・4%、外用薬5・5%、歯科用薬剤6・6%だった。

厚労省は20年度予算の概算要求基準(シーリング)で社会保障費約2200億円の抑制を求められているが、薬価改定で約800億円分にめどが立った形だ。

今後、医師の技術料などの診療報酬本体部分の改定率に焦点が移るが、中医協は28日、20年度の診療報酬改定について
1)勤務医対策を重点課題として評価を行う
2)本体部分はさらなるマイナス改定を行う状況にはない
3)後発医薬品の使用促進を着実に推進する

−との意見書をまとめた。

ただ、意見書は、健康保険組合連合会など支払い側が、医療資源配分のゆがみやムダの是正による範囲内で行うべきと主張したのに対し、医師会など診療側は、診療報酬の大幅引き上げの実現を行うべきだとし、意見に食い違いがあった−とも付け加えた。
(薬価1%弱引き下げ 国庫負担800億円圧縮)


厚生労働省は今年の5月に、病院の勤務医に比べて高く設定されている開業医の初診・再診料などを2008年度から引き下げる方針を固めたと発表しています。あわせて開業医の時間外診療や往診などの報酬引き上げを検討していたそうです。中央社会保険医療協議会で引き下げの検討が始められ、来年初めまでに下げ幅を決めるそうです。

こういった動きは、開業医の収益源を見直して夜間診療などへの取り組みを促し、医療現場や医療サービスでの担い手不足解消につなげることなどを目的としています。

勤務医の労働は、夜勤明けに再び診察に当たらなければならないなど過酷な面があり、とくに産科医や小児科医は深刻であり地域的な格差もあるといったことを受けたものであると思われます。方針案では病院で働く医師の負担軽減を緊急課題として挙げ、産科や小児科の診療報酬について加算を求めています。

こうした診療報酬体系の見直しだけでなく、薬価も引き下げが検討されているとのことです。薬価とは、以下のような説明が出来ると思われます。
健康保険制度のもとでは、医療保険を使って行う診察や治療を保険診療と呼び、その報酬金額は全て国によって決められています。これを診療報酬と呼び、診療行為に対する診療報酬本体と、薬価・医療材料からなります。

中でも薬価とは、国により決定される医療用医薬品の公定価格のことを指します。調剤報酬は、医薬品ごとに決められた点数の合計を、1点=10円で換算した金額で決められています。

上記のニュースで問題となっているのは、薬価差のことであると思われます。
病院などは、健康保険組合に対して、患者に使用した薬剤費を薬価基準どおり(国が定めた価格通り)に請求します。ですが、医薬品の取引価格に関しては規制がないため、医薬品卸業者から薬価よりも低い金額で医薬品を仕入れることができます。

となると、その差額が出る分、病院は儲かるわけです。そのため、差額を出すために不要な薬を出す病院が出てきて、無駄な医療を受けてしまう患者さんや、無駄な医療費を国が負担することになってしまいます。

こうした問題を防ぐためにも、医薬品の公定価格と市場実勢価格が離れすぎてしまうのは問題となるわけです。

ところが、医薬品の価格を強制的に引き下げることは、製薬会社の研究開発意欲を減退させ、医療の進歩を後退させる、といったメーカー側からの批判もあります。そのため、安易に引き下げるのも難しい状況にあるわけです。

しかしながら、膨らみ続ける医療費を負担するのは、結局は納税者である国民です。今回の価格差是正は、必要となるものと考えられ、今後も医療費をどう削っていくかが問題となっていくと思われます。

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