メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の診断基準を決めた日本内科学会など8学会が、基準再検討へ動き出したことが分かった。来年度から、この基準をベースに40〜74歳の全員を対象にした特定健診・保健指導制度が始まるが、基準や制度の妥当性が問われそうだ。

日本内科学会(永井良三理事長)は10月、「メタボリックシンドロームの診断基準について」と題する文書を各学会に送付。男性85センチ以上、女性90センチ以上とした腹囲の基準などについて「問題点をご指摘いただき、再検討する機会を持ちたい」と訴えた。

世界の人種別基準を作っている国際糖尿病連合は今年6月、日本人の基準を他のアジア人と同様に男性90センチ、女性80センチとすることを発表した。内科学会はこれを受け、「早急に関係学会の意見を取りまとめて見解を出す必要がある」と再検討を呼びかけたという。

8学会は05年、心筋梗塞や脳卒中などの危険性が高い人を検出するため基準をまとめた。メタボは、危険因子となる脂質(コレステロール)異常や高血圧、高血糖の背景に内臓脂肪の蓄積があるとの考え方で、腹囲は内臓脂肪の量を反映するという。腹囲の基準に該当し、脂質、血圧、血糖のうち二つ以上が基準を上回るとメタボと診断する。

8学会に加わったある学会の幹部は「基準は最善とはいえない。腹囲だけでなく他の検査数値も議論がある。国民の予防意識を高めた意味は大きいが、科学的な検討を加えることが必要だ」と話している。
(診断基準再検討の動き 内科学会など)


メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪型肥満(内臓肥満・腹部肥満)に高血糖・高血圧・高脂血症のうち2つ以上を合併した状態をいいます。

それぞれ単独でも、リスクを高めますが、これらが多数重積すると相乗的に動脈硬化性疾患の発生頻度が高まるため、リスクが重なった状態はハイリスク群として予防・治療の対象と考えられています。近年では、特に内臓脂肪の蓄積による肥満が共通の基盤として着目されています。

島袋充生・琉球大医学部講師(循環器病学)らがまとめた結果では、心筋梗塞など心臓血管系の病気になる危険性が男性で約2.5倍、女性で約1.8倍に増加するとのことです。

実は、10月にも日本肥満学会も診断基準に関する委員会を開き、基準の見直しの必要性を検討するとしていました。ですが、結局ここでは「変えない」という結論に達したようです。

基準の一つであるウエストサイズ(腹囲)が、女性で90cm以上なのに対し、男性は85cm以上と、諸外国に比べても厳しいなどが理由で、検討が促されています。実は、国際的にみても、男性の方が厳しい基準となっているのは日本だけです。米国の指針では、男性102cm超、女性88cm超を腹囲の基準としています。メタボリック症候群の人を見つける「特定健診・保健指導」が来年度に始まりますが、「これでは健康な人まで『異常』と判定される」との指摘もあるそうです。

どうしてこの腹囲が診断基準に入っているかと言いますと、以下のようなことを判断するためです。
実際には、項目の一つである「内臓脂肪型肥満」は、臍レベル腹部断面での内臓脂肪面積100cm²以上としています。ただし、内臓脂肪面積を直接測定する事は健康診断や日常臨床の場では容易ではないため、腹囲の測定により代用し、男性85cm以上、女性90cm以上を内臓脂肪型肥満と診断しています。しかし、できれば腹部CT撮影等により内臓脂肪面積を精密に測定する事が好ましい、とされています。

ですので、「男性85cm以上、女性90cm以上を内臓脂肪型肥満と診断」というのはそれほど厳密な意味のあることではないとはいえ、そこを変えることにどれほどの意義があるのかは疑問です。

今回の検討で、果たしてどのように変わるか、もしくは変わらないのかは分かりませんが、しっかりとした研究結果やしかるべき判断基準を示して欲しいものです。

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