1日午後5時ごろ、福岡県筑紫野市阿志岐の市道脇の側溝で、近くの安武トモエさん(85)が死亡しているのを近所の人が見つけ119番した。県警筑紫野署によると、死因は外傷性ショック死とみられ、全身に動物にかまれたような傷が多数見つかった。同署は野犬に襲われた可能性もあるとみて注意を呼びかけている。

調べでは、安武さんは側溝(幅40センチ、深さ1.3メートル)内に前かがみの状態で落ち込んでいた。全身を骨折しており、外傷がひどいため、ひき逃げ事件とみて捜査していたが、市道上などに事故の痕跡がなかった。歯形は犬の歯のようなかみ跡だった。安武さんは1日昼ごろ、近くの畑で作業している姿が目撃されており、その後に襲われたらしい。
(外傷性ショック死 85歳、野犬に襲われ死亡? 福岡)


そもそもショックとは「末梢組織への有効な血流量が減少することによって、臓器・組織の生理機能が障害される状態」と定義されています。つまり、全身へ有効な量の血液が送れなくなってしまい、生命の危機的な状態を指すわけですね。

ショックは、血流を維持するための3つの要素である、以下のいずれかの破綻によって起こります。
1)十分な循環血液量
2)正常な心臓のポンプ作用
3)正常な血管の緊張

ショックの症状としては、種々なショックに共通しているのは皮膚が蒼白で冷たい、そして冷汗をかく、無力・無気力,呼吸障害、乏・無尿、血圧低下などであると考えられています。

こうした症状は、生命維持のために必要な、心臓や脳などの臓器へ有効な血流が不足することや、それに対する神経体液性の反応(交感神経系やサイトカインなど)が加わって生じると考えられます。

外傷性ショックとは、交通災害外傷など重篤な外傷が原因で起こるショックを指します。昔は外傷の結果、生命が危くなったときの特異な症状をいうことから、外傷だけでなく熱傷、出血、心筋梗塞、薬物や毒物の中毒・過敏反応(アナフィラキシー)、敗血症など、あらゆる生命を脅かす侵襲の際にみられる同様の症状も含めていたそうです。

ですが現在では、外傷性ショックは外傷を原因とする例に限って使うようです。
では、具体的にどんな反応が起こっているのかと言えば、以下のような説明ができると思われます。
外傷性ショックの本質は、急性の循環血液量減少です。一般的なショックの定義としても「全身へ有効な量の血液が送れなくなってしまい、生命の危機的な状態」を言うわけですから、外傷によってこうした循環血液量減少が起こっているものを指すわけですね。

では、どうして外傷によって血液が送れなくなるのかといえば、外傷によって、体外への出血していることや、胸腔内・腹腔内・後腹膜腔、あるいは骨折部位などの内出血が原因となっています。多くの場合は多発外傷であり、こうした出血が起こるわけです。

ところが、頭部外傷の際の頭蓋内出血による脳圧亢進、脳挫傷、胸部外傷の際の血気胸、緊張性気胸、心損傷によるタンポナーデといった循環血液量の減少以外のことが大きな原因となってショックを起こすこともあります。

上記ニュースでも、こうしたいくつもの外傷が原因となって、亡くなってしまったと思われます。最初は交通外傷と思われていたそうですから、かなり大きな怪我であったと思われます。周囲に住む方も、不安に思われているのではないでしょうか。一刻も早く、原因究明がなされることが望まれます。

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