家庭用計量機器大手のタニタ(東京都板橋区)は5日、寝たままの姿勢で腹部の脂肪率や腹囲を同時計測できる世界初の「腹部脂肪計」を開発し、来年2月に発売すると発表した。寝たきりの高齢者でも簡単に計測できるほか、計測時間も約30秒と短い。来年4月に始まる特定健康診査などのメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)対策では、腹囲や内臓脂肪の蓄積を把握する必要性が指摘されており、健診センターなどでの需要を見込んでいる。

開発した腹部脂肪計「AB−101」は、ベッドなどに据え付けるアーチ型の本体と、電極を内蔵して無線通信機能を備えたインピーダンス計で構成。電気抵抗などをもとに腹囲や内臓脂肪を割り出す。対象者が病気でベッドに寝たきりになっていても、体に負担をかけずに計測できる。
 
これまで腹囲は巻き尺で計測することが多かったが、呼吸などに影響され、正確な数値を測りにくかった。また、内臓脂肪を計測するのも腹部X線CTなどの大きな装置が中心だった。

タニタの谷田大輔社長は「足が不自由な方や(CTでは計測できない)腹囲130センチ以上の人でも簡単に計測できるように開発を続けてきた」と話す。介護施設などに入所し、歩行が困難な人は内臓脂肪が増えることがあるという。動脈硬化や脳血管疾患は前段階に内臓脂肪の過剰蓄積があるとされており、予防に活用してもらう。

価格は29万4000円。介護・福祉施設や運動療法施設などをターゲットに、初年度300台、3年後に1000台を販売する見込み。
(メタボ対策に強い味方! 世界初「腹部脂肪計」)


メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪型肥満(内臓肥満・腹部肥満)に高血糖・高血圧・高脂血症のうち2つ以上を合併した状態をいいます。

それぞれ単独でも、リスクを高めますが、これらが多数重積すると相乗的に動脈硬化性疾患の発生頻度が高まるため、リスクが重なった状態はハイリスク群として予防・治療の対象と考えられています。近年では、特に内臓脂肪の蓄積による肥満が共通の基盤として着目されています。

実際には、項目の一つである「内臓脂肪型肥満」は、臍レベル腹部断面での内臓脂肪面積100cm²以上としています。ただし、内臓脂肪面積を直接測定する事は健康診断や日常臨床の場では容易ではないため、腹囲の測定により代用し、男性85cm以上、女性90cm以上を内臓脂肪型肥満と診断しています。できれば腹部CT撮影等により内臓脂肪面積を精密に測定する事が好ましい、とされています。

ですが上記の器機があれば、手軽かつより正確な計測が出来、より安全(CTではX線を用いているため、少なからず被曝はある)に検査できると考えられます。

どうしてメタボリックシンドロームがしきりに問題とされているかというと、以下のようなことが挙げられます。
京都大経済研究所の古川雅一研究員によると、標準体形の男性が20Kg太ると、糖尿病や高血圧になりやすくなり、年間医療費が2.5〜1.3倍に跳ね上がるとの推計が出ています。

体重64Kgの男性が20Kg太ると、新たに発症したり持病が悪化するなどして糖尿病に関する医療費が2.5倍に増加。高血圧性心疾患では1.3倍に増えるそうです。女性では54Kgの人が17Kg太ると、それぞれ同じ程度の医療費増が予測されています。

たしかに、糖尿病に対する血糖降下薬やインスリン注射、高血圧に対する降圧薬、高脂血症に対する脂質降下薬など、こうした薬剤は長期にわたって飲み続ける必要があり、医療費の面では大きな負担となります。そして、それ以上に患者さんの生活上の負担や経済的な負担となります。

具体的な事例としては、日本人の平均寿命が、男性79.00歳、女性85.81歳で過去最高を更新したことが明らかになりましたが、以前は長寿県として有名だった沖縄県は、男性が26位とかなりのランクダウンしています(女性は相変わらず1位ですが)。

その背景として、ファーストフード店が人口に対する店舗数が、全国に比較してかなり多い(1.7倍といわれています)ことがあげられています。つまり、今までのようなバランスのとれた栄養を、摂っている人が少なくなってしまった、ということが原因のようです。

たしかに、メタボリックシンドロームの基準値を巡っては、学会でその信憑性が疑われているということもありますが、生活習慣を見直す、という点では有用な概念ではないでしょうか。

【関連記事】
今までの人間ドックの基準値は厳しすぎた?

男性ホルモンの減少が、生活習慣病や鬱病のリスクに?