以下は、ニュースリアルタイムで扱われていた内容です。

40歳のAさんは、左胸のしこりを感じるようになりました。最初は乳腺炎か何かだと思っていましたが、心配になり病院に行って診察を受けることに。診察の結果、本人も心配していたとおり、乳癌であると宣告されました。治療法に関して、手術を受けるかどうかを含めて、話し合いがなされました。

しかし、Aさんは子育てが忙しく、手術を受けることに躊躇いがありました。そこで、医師が提示したのは、抗癌剤で腫瘍の縮小をはかり、その後に「ラジオ波熱凝固療法」というメスを使わずに、負担の小さい手術方法でした。

彼女は、「新宿ブレストセンター クサマクリニック」を訪れ、手術を受けることになりました。


「ラジオ波熱凝固療法」とは、周囲への浸潤を含めて、腫瘍径が2cm以下でリンパ節転移がみられない方が適応となります。そのため、抗癌剤による縮小が必要となりました。

ですが、この方法は患者さんの体の負担(手術侵襲)が少なく、医療費の高騰するアメリカではすでに8割が日帰り手術になっているとのこと。子供にまだ手がかかるAさんにとっては、ありがたい利点でした。ただ、健康保険が適応されないため、患者さんの負担として、32万円全額がかかるという難点はあります。

「ラジオ波熱凝固療法」の原理としては、直接数mmの針を腫瘍に直接刺して、AMラジオと同じ波帯の電波(460-480 KHz)を照射し、60-70度の熱を加えて、癌細胞を焼く(正確には100度前後の熱で凝固させる)というもの。原理的には電気メスと同じです。

ラジオ波熱凝固療法の問題点としては、以下のようなものがあります。
「ラジオ波熱凝固療法」は、既に肝癌で使用されていますが、乳癌に使用され始めたのは4年ほど前からです(肝臓癌に対しては保険適応がなされています)。そのため、長期成績が存在しないため、実験的治療に位置づけられ、乳房に傷を残したくない、乳房の変形が嫌だ、といった人がこの治療の基本的対象となります。そのため、再発を心配される方は、標準的手術である乳房温存手術や乳房切除手術を受けるべきと考えられます。

また、この方法の合併症としては、摩擦熱が皮膚に及ぶと熱傷が生じることがあります(危険性は5%未満と言われていますが)。他にも、ラジオ波によって熱凝固させるため、熱凝固を行った部分が蛋白変性を起こし、その組織は「しこり」として残ります。このしこりは通常、半年程度は残るといわれています。

たしかに、これからの長期成績を考えたり、保険適応が効かないなどの難点はありますが、これからの治療成績によっては、現在の治療成績に取って代わるものとなるかもしれません。現在の所、治療成績は良好であるとの報告が多いようです。

ただ、この方法は腫瘍径が小さいことが前提です。「乳癌検診で発見された」といった早期乳癌で発見される必要があります。やはり、乳癌検診はしっかりと受ける必要があるようです。

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